2019 Fiscal Year Research-status Report
気体である揮発性有機化合物の皮膚への反復曝露による接触皮膚炎発症の解明
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19K22770
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
伊藤 由起 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (80452192)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 2-エチル-1-ヘキサノール |
Outline of Annual Research Achievements |
建築資材等から放出される揮発性有機化合物によるシックビル(シックハウス)症候群(SBS)は未だ重要な健康課題である。中でも2-エチル-1-ヘキサノール(2EH)は、長期的に比較的高濃度で室内空気中に検出される事例が日本中で多数報告されている物質である。SBSでは、鼻、喉、目などの症状に加え、皮膚症状を訴える症例が数%報告されているが、2EH反復曝露により皮膚症状が生じるのかを解明するために、2EH慢性吸入曝露マウスの皮膚を観察した。2EH 6ヶ月曝露開始22週目からマウス臀部から背中にかけて紅斑を中心とする皮疹を有する個体が有意に増加した。また、脱毛と皮膚硬化が観察された。この皮疹部分の表皮は、濃度依存的に肥厚が増大し、真皮には、線維芽細胞などの皮膚の構成細胞 が増加する傾向が見られたが、CD45陽性の炎症細胞の増加は観察されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
皮疹部分だけではなく、同一個体の他の部位の皮膚組織も観察し、局所影響かどうか検討することとしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後予定している皮膚透過性試験においては気化した2EHを用いる必要があるため、実験方法を検討中である。
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Causes of Carryover |
病理組織学的検討がやや遅れており、今後抗体等の高額な消耗品を必要とするため。
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