2021 Fiscal Year Research-status Report
剖検用光干渉断層法開発によるoptic autopsyの構築
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19K22776
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
田中 篤 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50458072)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 光干渉断層法 / 剖検 / 急性冠症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
剖検用OCTにより、これまで動脈硬化病変内の単なるゴミと考えられていたコレステロール結晶が、plaque ruptureに関与していることが明らかとなった。従来の病理での評価では、標本作成時にコレステロール結晶は、使用する有機溶媒により溶出し、存在した跡形が、cleftとして表現されていた。そのため実際の形状等は不明であった。また電子顕微鏡を用いた研究では、標本作成時に、乾燥固定するためコレステロール結晶以外の組織が水分を失い収縮し、もとあった姿をとどめない。そのためコレステロール結晶と病変の関係は不明であった。今回の研究により、剖検時にOCTで観察可能となったため、新たな知見を得ることが出来た。 また冠動脈内の血栓についても、非常に興味深い知見が得られた。癌患者の剖検例では、これまで冠動脈内に微小な血栓が見出される事が多かったが、標本作成時のエラーとして処理されていた。しかし今回標本作製前に、OCTで観察する事で、そのような冠動脈内の血栓が、エラーではなく実際に存在すること、また癌患者特有の冠動脈病変の可能性が示唆された。さらに、冠動脈に狭窄を認めない急性冠症候群の原因になっている可能性が示唆された。これまで、いくら状況証拠が心臓死を強く示唆していても、法医解剖で冠動脈狭窄を認めない場合、急性冠症候群と診断する事は不可能であった。本研究が進めば、冠動脈狭窄を認めずとも、冠動脈内に微小サイズの血栓を認める場合、急性冠症候群と診断しうる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で、おおむね順調に進展している。コレステロール結晶、冠動脈内の微小血栓に関し、新たな知見を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果をまとめ、論文化する。さらに冠動脈内に存在する、微小サイズの血栓に関して、冠動脈狭窄を認めない急性冠症候群との関係を更に詳しく検討する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍および半導体不足の影響を受け、一部の光学系の部品が届かなかったため。
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Research Products
(2 results)