2023 Fiscal Year Research-status Report
剖検用光干渉断層法開発によるoptic autopsyの構築
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19K22776
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
田中 篤 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50458072)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2025-03-31
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Keywords | 急性冠症候群 / 冠動脈 / 動脈硬化 / 光干渉断層法 |
Outline of Annual Research Achievements |
CT, MRIによる死後画像診断にて頭蓋内、胸腔内、腹腔内等に死因となる異常がないことを確認し、その後、通常の手順で胸腹部の皮膚切開後、心窩部および左胸骨肋間から、前後室間溝、房室間溝に沿い剖検用OCTプローベを挿入し、心膜上から左右冠動脈を観察し、冠動脈狭窄・閉塞、石灰化、脂質沈着、粥腫破裂、血栓の有無等を診断する。引き続き通常の手順で開胸し免疫病理標本を作成し診断を行った。通常剖検診断とOCTによるoptic autopsy診断を比較検討している。その中で動脈硬化病変の光干渉断層法による観察、そして病理組織との比較検討を行い、様々な知見が得られている。 例えば、冠動脈CTと光干渉断層法の所見からスタチンによる資質低下療法が,冠動脈プラーク,特に臨床上重要なlow attenuation plaqueの形態変化に及ぼす影響について検討を行い、英文誌にfull paperとして報告した。低侵襲剖検により、生体のあった姿により近い状態で冠動脈プラークを観察しえたため着想を得た研究である。 また、剖検例の低侵襲光学的剖検により得られた新知見より着想をえて、ATTRアミロイドーシスの心電図所見とエコーによる左室壁肥大のシンプルなたった2つのパラメーターで、ATTRアミロイドーシスを病初期に診断可能であることを英文誌にfull paperとして報告した。本知見は、早期診断を通じ、アミロイドーシス患者の予後を改善する可能性がある。 さらに、動脈硬化病変に普遍的に存在するコレステロール結晶に関し、その生成や消退に関する知見が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍によるサプライチェーンの寸断や、ウクライナ紛争の影響を受け,当初研究計画より遅れが生じたが、概ね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
コレステロール結晶に関する新たな知見をまとめ、研究論文を公刊する予定である。
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Causes of Carryover |
学会開催がオンラインとなったため,旅費の使用が少なかった。
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