2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel method for prevention from brain damage of heat stroke
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19K22779
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
土肥 謙二 昭和大学, 医学部, 教授 (20301509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸藤 陽一 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (40437869)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Keywords | 熱中症 / 神経炎症 / 小脳 / 後遺症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では軽度から中等度熱中症の身体活動や脳神経機能への影響と病態について検討し、さらに水素水飲水の効果といった発症予防や治療として家庭や学校などのスポーツ活動の現場、労働活動の現場などで可能な新規の予防法や治療法の開発を行っている。現在はサイトカインに強く影響するPACAP KOマウスを用いて熱中症後の組織障害に影響するのかについて生化学的および組織学により評価を行っており、令和3年度中の投稿を目指して準備している。また、熱中症後14日間、マウスは血算やヘマトクリットを測定し、血清をNa、K、Clなど電解質、腎機能および肝機能マーカーを生化学的に測定し、組織(脳、肺、肝、腎、腸管)における形態学的検討を行った。この結果についてはJ Intensive Care. 2021; 9: 35.に公表した。 2022年度の実験の結果、小脳のプルキンエ細胞に異常が認められることが確認された。具体的には熱中症後におきる小脳の遅発性神経傷害についてマウス熱中症モデルを用いて検討をおこなった。これらの結果から、熱中症により小脳のプルキンエ細胞は著明に減少し、その後改善しないことがわかった。一方、小脳白質の脱髄は時間の経過に伴い改善し、 再髄鞘化が考えられた。プルキンエ細胞周囲のPSD-95、Synaptophysinは熱中症から3週間後に最も低下し、その後改善したことから、 熱中症にともなう一過性のシナプス傷害が示唆された。本検討から、熱中症後におこる小脳白質の一過性の脱髄、プルキンエ細胞の減少、一時的なシナプス傷害が遅発性神経傷害に関連していることが明らかになった。この研究成果は、『Scientific Reports』に掲載された。 その一方で水素水飲水の効果については明らかな熱中症の発症や神経症状の抑制効果が得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症により、主に救急医で研究者が構成されているために研究に対する時間が取れずに研究が遅延した。さらに水素水飲水の効果が得られなかったことから他の抗酸化物質に効果についての再検討を行っていることがさらなる遅延の原因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初予定していた水素水に代わる治療法の開発として新規抗酸化物の名の物質を用いた熱中症予防効果の検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究者が救急医師であり新型コロナ感染症対策で実験に関われる時間が当初予定していた時間の確保が困難であり、研究が遅延していること。さらには水素水にかかわる研究結果が当初の予定と異なったことにより研究が遅延しているために次年度の実験の継続が必要となったため。
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