2019 Fiscal Year Research-status Report
リポ蛋白質の質的変化に着目した食成分の新たな生理活性の探索
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19K22797
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山梨 義英 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20582018)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | リポ蛋白質 / 動脈硬化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈硬化症の発症リスクとの関連性からLDLやHDLなどのリポ蛋白質の「量(血液中濃度)」については古くから注目されてきた。しかし近年、リポ蛋白質の「量」に加えて「質(生理活性の強さ)」の重要性も明らかとなってきている。ところが、リポ蛋白質の「質」を制御する因子についてはほとんど明らかでない。応募者らのこれまでの研究から、リポ蛋白質がコレステロールや中性脂肪のみならず、様々な外因性化合物(食事成分や薬物(以下、食成分とする))を包含し、それらの運搬体として機能することが明らかとなってきた。しかし、これらリポ蛋白質の副成分が、リポ蛋白質の「質」に与える影響については未解明である。そこで本研究は食成分のリポ蛋白質への分布に着目し、リポ蛋白質に分布する食成分がリポ蛋白質の「質」に及ぼす影響について、動脈硬化症の発症・進行に及ぼす影響も含めて明らかにすべく企画された。 研究開始年度である令和元年度は、マウスを用いたin vivo解析により、様々な食成分のリポ蛋白質分布パターンを検討した。その結果、コレステロールや中性脂肪以外の代表的な食事由来脂質(およびその活性代謝物)について、そのリポ蛋白質分布パターンが、脂質異常症の進行に伴って大きく変わることを新たに見出した。 また、LDLに分布しうる一部の薬物について、その薬理効果に関する検討を進めた。LDL受容体機能欠損マウスでは、LDL粒子の血液中での蓄積に伴い、野生型マウスと比較して、LDL分布型薬物の血液中濃度が上昇した。この状況下において、解析対象薬物の薬理効果を評価する実験系の構築を完了し、次年度以降の解析の準備を整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食成分のリポ蛋白質分布パターンに関する解析が進み、新たな知見が見出されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度に見出された、食事由来脂質の活性代謝物のリポ蛋白質分布パターンの変動が、動脈硬化症の発症・進行に及ぼす影響について、リポ蛋白質の「質」の変化という観点から更なる解析を進める予定である。また、LDLに分布した薬物がその薬理効果を発揮しうるのかについても、今年度構築した実験系を用いて解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)令和元年度の収支状況について次年度使用額が生じているが、動脈硬化症モデルマウスを用いた検討を令和元年度には行わず、令和2年度へと予定変更したことによる。動脈硬化症モデルマウスの構築は順調に進んでいるので、今後は構築したモデルマウスを用いたin vivo解析を進めることで、食成分によるリポ蛋白質の質的変化と動脈硬化症の発症・進行との関連性を明らかにする計画である。 (使用計画)令和元年度と同様、各種試薬や実験用動物購入費用などの消耗品費として主に使用することになるが、一部は得られた研究成果を学会において発表するための旅費、国際誌への論文投稿のための校閲費・印刷費・研究成果投稿料としてのその他の費用として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)