2019 Fiscal Year Research-status Report
右前頭葉機能の賦活・抑制に関わる新規神経機能ネットワークの解明
Project/Area Number |
19K22801
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中嶋 理帆 金沢大学, 保健学系, 助教 (60614865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 光俊 金沢大学, 医学系, 教授 (20334774)
木下 雅史 金沢大学, 医学系, 講師 (50525045)
篠原 治道 金沢大学, 医学系, 客員教授 (20135007)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 右前頭葉 / 賦活 / 抑制 / 高次脳機能 / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトの目的は,右前頭葉機能の賦活・抑制に関わる神経機能ネットワークの解明である.脳には機能の賦活と抑制に働くネットワークが存在し,両者が均衡を保つことにより精巧な運動や高次の認知機能を働かせることができる.申請者はこれまでに約150例の覚醒下手術に脳機能の評価者として従事し,手術中の所見から運動機能には賦活と抑制に関わる領域が存在することを直接的に確認した.覚醒下手術とは脳内病変の手術法の一つであり,脳局所の電気刺激,つまり神経細胞の活動を抑制・賦活することにより脳機能を直接的に調べ,温存できる唯一の方法である.本研究では,下記4つのプロジェクトを展開する.術前から慢性期までの経時的高次脳機能検査,脳機能イメージングを用いた画像統計解析,屍体脳を用いた白質解剖,そして覚醒下手術による検証により目標を達成する.本研究プロジェクトは,脳機能局在は脳が賦活する部位を調べるという,当然のように考えられてきた固定観念を全く覆す挑戦的研究である. 初年度は以下の研究を実施した. 1.経時的高次脳機能検査と脳機能イメージングを用いた画像統計解析より,右前頭葉機能のうち感情理解に着目し,賦活と抑制に関わる領域を調べた.この結果,損傷されると正答率が低くなる領域(賦活)と,損傷されると正答率が低くなる領域(抑制)に関わる領域があることを見いだした. 2.注意の抑制に関わる領域として推定される帯状回の機能について調べた.そして,帯状回の中でも中心的な役割を果たす領域を見いだし,その部分の損傷による予後を明らかにした. 1,2については論文投稿し,現在は査読中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
右前頭葉機能のうち,感情理解と注意の機能について,抑制に関わる領域が存在すること,さらにその領域が摘出された場合の長期的な予後について調べた.この2つの知見については,論文投稿し,現在査読中である.このため,おおむね順調に進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に続き,抑制に関わる領域が存在することを他の右前頭葉機能においても検討したい.さらに,安静時機能的MRIを用いた機能的結合を用いた解析を加え,賦活と抑制の仕組みについて解明する予定である.
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Causes of Carryover |
論文の投稿費用に予定していた分が,論文受理の時期が予定していたよりも遅く,余剰となった.また,3月に使用を予定していた学会が新型コロナウイルスにより中止となったため,余剰が生じた. 次年度使用額と当該年度分として請求した助成金と合わせて,論文投稿費用に関しては予定通り,今年度に執行する.また,学会参会については,世の中の状況によるが,昨年度に予定していた分を今年度に使用する予定である.なお,(新型コロナウイルスの影響で)学会が開催されなかった場合は,本研究課題の論文投稿費に使用する計画である.
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