2020 Fiscal Year Research-status Report
時空間脳内ネットワーク構造に基づく革新的歩行介入法の開発
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19K22804
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
野嶌 一平 信州大学, 医学部, 准教授(特定雇用) (20646286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅田 陽怜 大分大学, 福祉健康科学部, 講師 (30721500)
金沢 星慶 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任助教 (60744993)
松井 佑介 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (90761495)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 脳筋コヒーレンス / 歩行 / ウェーブレット |
Outline of Annual Research Achievements |
歩行特異的な脳活動を計測することを目的に、健常成人を対象にトレッドミル歩行下での脳波・筋電図計測および解析手法の検討を行った。生体信号記録は、64ch脳波計を使った脳活動計測、下肢10筋より筋電図による筋活動計測を行った。信号解析に関しては、動的な脳と筋の接続性を評価するため、ウィーブレットコヒーレンス解析を実施した。まず、64箇所の脳部位と10筋の組み合わせ、640ペアにおける周波数帯域ごとのコヒーレンス解析を行った。このコヒーレンス解析では、一般にフーリエ変換によるコヒーレンス計算が行われるが、この時の信号は定常性が暗に仮定されており、歩行という周期性のあるダイナミックな動作における脳と筋の接続性解析では非定常性を前提とした解析モデルを適用する必要性がある。そこで、本研究ではダイナミックな変動を示す脳筋接続性をウェーブレットコヒーレンス解析を使って明らかにし、歩行制御の解明を目指していく手法を選択する。予備検討では、5名の健常成人の歩行解析を実施し、脳筋接続性の時系列パターンから類似性に着目した解析を行うことで、7つ程度のパターンに分類できる結果が得られている。またこの時、主成分波形が全体の50%以上の情報を説明できることも示唆されており、フィードバック信号として最適なパラメータの選定を行っていく。最終年度では、これまでに検討してきた脳筋接続性解析を使い、健常人における様々な条件下(デュアルタスクや狭小路歩行、平地歩行など)での中枢神経系の制御戦略の違いを明らかにするとともに、病院などへの出入りが許されればパーキンソン病患者における計測も並行して行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パーキンソン病患者を対象とした計測を予定していたがコロナ禍による病院への出入りが大幅に制限され、実験計画は倫理委員会より承認を頂いているものの実際の計測は進んでいない。一方で、健常成人を対象とした計測から、当初予定していた解析に加え、大規模な脳筋接続性に関するネットワーク解析を進めることができ、フィードバック信号としての利用に目処がついてきている。 フィードバック装置に関しては、脳内ネットワーク情報をリアルタイムに表示するプログラムは完成し、健常人を対象とした検討に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
パーキンソン病患者を対象とした検討は、コロナ感染症の状況を鑑みながら、可能になればすぐに計測できる体制を整えておく。また連携病院とは密な連絡を取り、情報共有を行っていく。 フィードバック装置に関しては、ダイナミックな脳筋接続性解析で得られた知見をプログラムに取り入れ、最適なフィードバックパラメータを明らかにすることで、装置の完成を目指す予定である。本装置に関しては、分担研究者とも密に連絡を取りつつ、被験者からの主観的な評価(分かりやすさや操作しやすさなど)も参考に最適な指標を実装していく。
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Causes of Carryover |
令和2年度はコロナ禍で病院での実験が中止となり、また打ち合わせや学会参加も完全にリモートとなったため、人件費および旅費の使用が全くなく、未使用額が生じている。次年度も大きな変化がないようであれば適宜実験を調整し、そのための機器購入や被験者謝金に充てることとする。
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Research Products
(7 results)