2019 Fiscal Year Research-status Report
新規合成タンパク質局在化の可視化による筋原線維形成の観察
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19K22805
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
小笠原 理紀 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10634602)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | Puromycin / SUnSET法 / 筋原線維形成 / タンパク質合成 / 局在化 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規に合成されたタンパク質は局在化されることによってはじめて機能を発揮することができる。骨格筋が太く強くなるためには既存の筋原線維へ新規に収縮フィラメントが追加(筋原線維形成)される必要があるが、近年筋原線維形成に関わるタンパク質が運動や加齢によって変化することが報告されている。このことは、幅広く骨格筋リモデリングを反映する筋タンパク質合成の段階ではなく、その後の筋原線維形成を観察することが骨格筋量・機能調節の解明において重要なことを示唆するが、その観察手法は確立されていない。本研究では、新規に合成されたタンパク質の局在化観察手法を確立し、これまで測定することができなかった新規合成タンパク質の筋原線維形成動態の可視化を試みる。 本年度は、Puromycinの新規合成ペプチドへの結合を利用したSUnSET法の妥当性の検討、および組織染色における条件検討を行った。まず、新規合成ミオシンについてPuromycinで免疫沈降したサンプルをミオシン抗体を用いてウェスタンブロッティングによって評価したところ、多くが全長の分子量において発現が観察された。したがって、Puromycinは少なくともミオシンにおいてタンパク質合成時に伸長を阻害しないものと考えられる。また、免疫組織染色によってPuromycinの局在を観察したところ、筋原線維の横紋に沿って局在することが観察された。したがって、Puromycinは新規に合成された筋原線維関連タンパク質の筋原線維構造への局在化を阻害していないと考えられる。以上から、Puromycinの新規合成ペプチドへの取り込みを利用したSUnSET法は新規合成タンパク質の筋原線維構造への局在化を評価するうえで有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って順調に検討を進められているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに確立した新規合成タンパク質の可視化手法を用いて、実際に様々な筋収縮や栄養刺激といった生理的な刺激が筋原線維形成に影響を及ぼすのかどうか検討する。また、特定のタンパク質の合成後の局在化動態を評価するためにProximity ligation assay(PLA)を用いる。以上によって、どのような刺激が筋原線維を作り、筋機能を改善していく働きを持っているのか筋タンパク質合成との関係性を含めて明らかにする。また、筋原線維形成が実際に骨格筋量・機能の改善とリンクしているかも評価する。
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Causes of Carryover |
予備検討が順調に進み、コストが削減できたため。これらは今後の試薬や共通機器利用料等に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)