2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of low-cost and disposable smart insole for daily gait analysis
Project/Area Number |
19K22810
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
福田 博也 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (90294256)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 歩行リハビリテーション / 歩行計測 / スマートインソール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,市販の安価なフォースセンサと他の材料を組み合わせて,歩行中の足底荷重分布(鉛直,前後・左右)と足圧中心軌跡,さらには,足部アーチ(長さ,高さ)の動的変化がスマートフォンなどの携帯端末においてリアルタイムで確認できる,低コストで使い捨てが可能な歩行計測用スマートインソールの開発を目的としている。本年度の取り組みと得られた結果は次の通りである。
(1) センサの選定 ― 市販センサの製造元から提供されている基本性能と本研究に関連する既製品,研究報告,研究論文などを調査して,行動・運動時の人体運動の特殊性(大きさ,形状,フィット感)を考慮しながら,フォースセンサと曲率センサを選定した。選定したセンサは,荷重,せん断,引張り,曲げなどの力学刺激に対して,抵抗値が変化するもの,起電力を生じるもの,静電容量が変化するものなどがあるため,それぞれの原理に合わせてセンシング回路を設計した。周囲温度などの環境の影響を軽減するためには,アナログフィルタ回路とディジタルフィルタを組み合わせて使用する必要のあることがわかった。 (2) センシング回路と実験装置の製作 ― センサの原理に合わせてセンシング回路を製作し,市販のフォースゲージと力覚センサなどと組み合わせて,センサの性能評価用の実験装置を構築し,荷重,せん断,引張り,曲げなどの力学特性を明らかにした。歩行中の履物内の温度変化も無視できないため,別途実験装置を製作し,センサの温度ドリフトの影響も明らかにした。ここで得られた特性を十分に把握しておくことは歩行計測用インソールの構造を決定する上で非常に重要であることが確認できた。 (3) インソール構造の検討 ― 本研究に関連する既製品,研究報告,研究論文の問題点を踏まえ,低コストで使い捨てが可能なインソール構造を検討した結果,耐久性の面など,今後の課題が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「低コストで」「使い捨てが可能な」歩行計測用インソールの構造を決定する上で重要なファクタとなる,市販のフォースセンサと曲率センサの力学特性と温度ドリフトの影響を実験的に明らかにした。その結果を利用して,足底荷重分布と足圧中心軌跡,足部アーチの動的変化をリアルタイムで計測するためのインソールの構造を検討した。このことにより,歩調や床面環境を変化させたとき,異なる履物や手すり・杖を用いたときなどの条件下で次年度以降に行う,インソール構造の妥当性を検証するための被験者実験に向けて,おおよその見通しが立った。しかしながら,本研究を進めていく段階で類似の機能を持った既製品,研究報告,研究論文が新たにみられたため,追加の特性評価実験とインソール構造の再検討を行う必要があったが,この実験に使用する機器が新型コロナ感染症拡大の影響で購入できず,やむを得ず次年度以降に行うことになった。初年度に取り組むべき検討課題や機器の設計と製作はおおむね計画どおり進めることができたものの,全体としてはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
足底荷重分布と足圧中心軌跡,足部アーチの動的変化をリアルタイムで計測できるインソール構造を決定・完成させるためには,追加の特性評価実験とインソール構造の再検討を行う必要がある。その後,複数の被験者(子供から大人まで)の協力を得て収集したデータと他の歩行計測用デバイスで得られたデータを用いて,インソール構造の妥当性などを検討するという流れで進めていくことになる。さらに,歩行データ列をスマートフォンやタブレット端末で可視化するためのソフトウェアを構築し,歩行計測用インソールのスマート化を目指していくが,生体情報のスマート計測に関する技術革新は目覚ましいため,常に最新の研究情報を得ながら進めていくことになる。
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Causes of Carryover |
理由 歩行リハビリテーションやスポーツ工学分野における本研究課題に関係する技術革新は目覚ましく,開発を進めていく段階で類似の機能を持った既製品,研究報告,研究論文が新たにみられたため,常に最新の研究情報を得ながら慎重に研究を進めていくことが望ましいと判断し,開発の一部を次年度の早い時期に行うとしたこと,また,新型コロナ感染症拡大の影響で追加実験に使用する機器が購入できなかったことによる。 使用計画 上記理由により,開発の一部に関わる物品費と人件費・謝金,研究成果公表のための旅費や雑誌論文への投稿・掲載料などに関わる経費を翌年度分として繰り越した。
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