2020 Fiscal Year Research-status Report
島皮質可塑性に着目した感覚記憶リハーサルによる味覚障害リハビリテーション法の開発
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19K22821
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
海老原 覚 東邦大学, 医学部, 教授 (90323013)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 味覚 / 味覚閾値 / リハビリテーション / 嚥下 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化とともに味覚障害の患者数は急増しているが、その多くが原因不明のものであり、確立された治療法がない。本研究では健常の方に対して新たなリハビリテーションの手法の開発を行い、味覚の感受性が向上するかを明らかにすることが目的である。20歳から64歳までの健常者を対象として独自に開発した味覚リハビリテーションを行い味覚の検査および訓練を行なった。同時に、味覚リハビリテーション訓練を行わない対照も設定した。検査は、4種類の味のする溶液を、さまざまな濃度に希釈したものをろ紙に浸し、そのろ紙を薄い濃度のものから順に舌にのせて、はじめて味を認識できる濃度を調べるという検査であり、解析可能な症例数を確保した。 同時に味覚障害を訴える患者に対しても味覚リハビリテーションを行った。東邦大学医療センター大森病院リハビリテーション科にリハビリテーション依頼のあった患者(当科の外来は入院患者中心)のうち、意識清明で認知機能正常な成人患者のうち、味覚障害を自覚していて、亜鉛欠乏などの治療介入可能なはっきりした原因がわからない患者に対して行った。言語聴覚士などによって嚥下リハビリテーションの一環として行われる口腔ケアや口腔乾燥対策そして口腔ストレッチや口腔の運動を患者の状態に応じて組み合わせて行った。そして1週間に1回の外来通院で行い、約3から6回の通院後に評価することとし、ろ紙ディスクによる味覚定量検査キットにて評価する味覚閾値を計測した。こちらの患者の研究も順調に進行し、さらなるエントリーを行っている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常者の症例数はほぼ目標に達し、現在データ解析中かつ論文執筆中である。また、患者症例も順調にエントリーが進んでおり、結果が見えてきている。患者データに関してはケースシリーズとして令和3年6月に開催される第58回日本リハビリテーション医学会学術集会で発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
患者症例も順調にエントリーが進んでおり、結果が見えてきたので、患者データに関してはケースシリーズとして令和3年6月に開催される第58回日本リハビリテーション医学会学術集会で発表予定である。健常者の症例数はほぼ目標に達し、現在データ解析中である。今後はこのデータをもとに論文を執筆する。さらに脳機能画像解析についても検討し、PET、SPECT、脳磁図、MRIなどの脳イメージングを用いて、味覚障害の早期診断、病態解明ならびに治療効果の判定に関する研究を進める。また脳イメージングを味覚障害の根本治療薬の開発に幅広く応用することをめざす。そのためには放射能ラベルした放射性診断薬を創出し、新しい味覚障害診断法の開発を行い、味覚イメージングなどの新しい放射性診断薬による画像診断法、画像解析技術の開発をめざす。さらにPET、脳磁図、MRIなどを用いた新しい脳イメージング検査法を駆使して、臨床の現場で診断・治療に広く役立てるための臨床研究を行うことを企画する。また同時並行して、脳磁図や機能的MRIといった脳イメージング検査法を味覚障害の看護・介護に役立てる研究を企画する。脳磁図:脳の活動の様子を、神経ネットワークの電気的活動の変化として脳波よりも詳しく捉えるようにすることにより、脳の活動の様子を、脳血流の変化として捉えることにより味覚障害の脳血流変化もとらえる研究も企画する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の世界的パンデミックの影響で当初予定していた国内学会参加および国際学会参加がすべてオンラインになり、参加費のみにて交通費・宿泊費がかからなくなったことより出費が抑えられた。しかし、2021年度は最終年度でありワクチン接種がすすみ、感染状況が落ち着くことが予想される。そこで、2021年度は積極的に海外発表を複数行うことを予定している。よって、2021年度の使用計画は、国際学会参加のための旅費および、学会参加費に充てる。
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Research Products
(6 results)