2022 Fiscal Year Annual Research Report
島皮質可塑性に着目した感覚記憶リハーサルによる味覚障害リハビリテーション法の開発
Project/Area Number |
19K22821
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
海老原 覚 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90323013)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 味覚 / リハビリテーション / 4味 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化とともに味覚障害患者は増加してきましたが、近年ではCOVID-19感染後に味覚障害が残存する患者がいることが報告されており、今後、さらに味覚障害患者が世界的に増加することが危惧されている。一方で、味覚障害に対する明確な治療法は現在、存在しておらず、味覚障害に悩む患者は少なくない。そこで、新たな治療法として味覚リハビリテーション法を考案し、健常者でその効果を検証した。私たちが考案した味覚リハビリテーション法は、4つのステップからなり、ステップ1で濾紙ディスク法により味覚認知閾値を計測し、ステップ2で味覚認知閾値の1つ濃い濃度を記憶させ、味覚認知閾値の味と照合させます。ステップ3で味覚認知閾値の1つ濃い濃度の味を記憶させ、味覚認知閾値の1つ薄い濃度の味と照合させる。ステップ4で味覚認知閾値の味を記憶して味覚認知閾値の1つ薄い濃度の味と照合させるという一連のサイクルを実施する。研究は42名の健常者を対象に行いました。対象者は21名ずつの2群に分けられ、一方の群は味覚リハビリテーション法を実施する群(リハ群)、もう一方は味覚リハビリテーション法を実施しない群(非リハ群)としました。結果、リハ群では経時的に、甘味(P<0.01)、塩味(P<0.01)、酸味(P<0.001)、苦味(P<0.05)の4つの基本味とも味覚の感受性が有意に高まった。また、両群の最初の味覚認知閾値に有意差はありませんでしたが、4日目の時点でリハ群は非リハ群と比較して有意に味覚感受性が高まった(4つの基本味すべてp<0.05)。この結果から、味覚リハビリテーション法は味覚感受性を向上させる可能性があることが示され、味覚障害を改善させる治療法の一つになることが期待される。
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Research Products
(6 results)