2020 Fiscal Year Research-status Report
Gut microbiota in athleate identify high performance
Project/Area Number |
19K22832
|
Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
矢野 博己 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (20248272)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
Keywords | 腸内フローラ / 運動パフォーマンス / TLR5 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題を通じて、腸内フローラを介した運動パフォーマンスへの影響について検討し、タレント発掘やアスリートの健康管理のためのモニタリング、健康づくりへの運動効果の新規視点の発見、さらには細菌サプリメント(プロバイオティクス)の開発などへの広がりを期待して取り組んでいる。特に本研究では、アスリートマウスを作成し、腸内細菌叢解析を駆使しつつ、便移植法による運動パフォーマンス水平伝播の可能性について検討を試みるとともに、ヒトアスリートの糞便を用いた、ヒト腸内フローラ移植マウスへの運動パフォーマンス生物界間伝播の可能性についても検討を予定している。 本年度は、昨年実施出来なかったTLR5遺伝子欠損マウス(KO5)を用いたアスリートマウスの作成について、動物実験委員会、組換えDNA実験安全委員会承認のもと、その一部ではあるものの、2クール目の実験まで実施ができるようになった。途中段階ではあるが、現在までに、運動パフォーマンスと関連する可能性のある腸内細菌の検討を行うとともに、腸内細菌叢由来の短鎖脂肪酸産生についてもデータを得られつつある。現在まで得られている特徴的な結果として、酢酸、プロピオン酸、酪酸のいずれの短鎖脂肪酸も、野生型マウスと比較してKO5マウスの盲腸便で高くなる傾向が観察されている。加えて自発的運動による影響も、野生型マウスとは異なる反応を示している。さらに実験を重ね、十分な知見が得られることを期待している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
他施設での動物実験ではあるが、倫理審査を終え、繁殖させながらの実験がようやく軌道に乗りつつある。実験施設のスペースの限界から、動物実験を4回に分けて実施する計画に変更しており、2クール目が終了した。十分なn数確保にまでは至っておらず、引き続き時間を必要とする状況である。また、COVID-19感染拡大を受け、まん延防止等重点措置、あるいは非常事態宣言等の発令が予想される状況に対して、動物実験も予断を許さない日々が続いている点も懸念材料である。さらに、実験に使用予定のヒト糞便の採集も、COVID-19感染拡大を受け滞っているため、実験が予定より遅れている状況にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の収束を待って、動物実験と並行してヒトを対象とした実験へと進める予定ではあったが、今のところその目途はたっていない状況である。ヒトアスリートからの糞便回収と、その腸内フローラ解析を実施する予定ではあるが、被験者の血清学的検査項目、糞便テスト項目の見直し等を必要としている。新型コロナウイルスは糞便からも検出されており、腸内細菌叢の解析とともに、新型コロナウイルスのPCR解析も必要と考えられる。技術的には問題はないが、検者(大学院生を含む)の安全確保、および被験者への一段の倫理的配慮が必要となるなどの課題がある。動物を用いた実験系をさらに充実させることで、一定の成果が得られないかついて、現状を見ながら検討を継続している。
|
Causes of Carryover |
購入した胚から作成した動物を用いての飼育、ならびに実験が開始できる状況が整い、昨年度繰り越した経費を執行する形で、本研究課題に関する実験を進めることはできた。しかし、今年度予定していた、ヒト化腸内フローラマウスの作成をする上で動物の飼育と動物からの試料摘出時の実験補助経費の執行ができなかった。同時に、腸内細菌解析は次世代シーケンス法を用いたメタゲノム解析を予定していたが、サンプル数の確保が十分できず、解析とデータ加工の一括分析を予定している関係上、経費の執行ができていない。次年度はn数が確保でき次第、執行する予定である。加えて、作成した遺伝子操作マウスのラボ単位で維持に必要となる経費、さらに、ワクチン接種、感染の収束を待って、研究成果報告のための関連研究分野の国内外学会参加経費の執行も予定している。
|