2019 Fiscal Year Research-status Report
体性神経系の恒常性を活用した新しい手指痙縮軽減法の提案
Project/Area Number |
19K22833
|
Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
内藤 栄一 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 研究マネージャー (10283293)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | 運動機能回復 / 振動刺激 / 運動領野 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会を迎えた日本では脳卒中の罹患者が160万人を超える。これらの脳障害は深刻な運動機能障害を引き起こし、患者のQOLを低下させる。手足のこわばりやつっぱり症状(痙縮)は、脳損傷後の運動機能障害の代表であり、これが運動機能回復リハビリテーションの進行を妨げている。応募者がこれまで行ってきた手や足への振動刺激は、脳の運動領野に介入でき、回復期の脳卒中罹患者の手の痙縮を軽減できる可能性がある。本研究では、振動刺激の効果に関わる脳内神経機序を筋電計測や脳活動計測から明らかにし、福井総合病院との連携により、振動刺激介入が痙縮患者が在宅でも行える新しい効果的な痙縮軽減法になりうるかを検証することを目的とした。 掌への振動刺激の効果を検証するため、健常成人30名で上肢の筋活動を計測した。その結果、振動刺激中には、刺激効果が直接期待できる手の屈筋群より、手の伸筋群において顕著な筋活動が記録できることがわかった。この伸筋群の活動は、短時間ではあるが、刺激を停止した後も持続することもわかった。回復期の脳卒中罹患者の手の痙縮は屈曲側に観察されることが多いことから、振動刺激による伸筋群の活動亢進はこれを軽減できる効果であることが期待できた。この結果を踏まえ、福井総合病院との連携により、回復期の脳卒中罹患者での検証をしている。健常成人の場合と同じく、手の屈筋群よりは伸筋群において顕著な筋活動が記録でき、短時間ではあるが、刺激を停止した後もこの活動は持続することもわかってきた。これらの成果は、振動刺激を用いた介入の有効性を示唆しているといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
掌への振動刺激の効果を検証するため、健常成人30名で上肢の筋活動を計測した。その結果、振動刺激中には、刺激効果が直接期待できる手の屈筋群より、手の伸筋群において顕著な筋活動が記録できることがわかった。この伸筋群の活動は、短時間ではあるが、刺激を停止した後も持続することもわかった。回復期の脳卒中罹患者の手の痙縮は屈曲側に観察されることが多いことから、振動刺激による伸筋群の活動亢進はこれを軽減できる効果であることが期待できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの健常成人30名での結果を踏まえて、現在福井総合病院との連携により、回復期の脳卒中罹患者での検証をしている。健常成人の場合と同じく、手の屈筋群よりは伸筋群において顕著な筋活動が記録でき、短時間ではあるが、刺激を停止した後もこの活動は持続することもわかってきた。今後は、さらに患者の数を増やし、痙縮の軽減が可能かを検証していく。
|
Causes of Carryover |
福井総合病院で計画していた患者を対象とした研究の開始が先方の都合でやや遅れ、2020年1月からの開始となった。このため、旅費や人件費謝金が当初計画していたものより下回った。今年度はこれを進める予定である。また、得られ始めた成果を論文化するにあたり、その解析用ソフトや英語校閲費および掲載費にあてる予定である。
|
Research Products
(5 results)