2019 Fiscal Year Research-status Report
Reactive oxygen species; physiological role in the brain
Project/Area Number |
19K22834
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
遠藤 昌吾 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (60192514)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿澤 昌 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (40291059)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | 記憶 / 小脳 / プルキンエ細胞 / 活性酸素種 / cGMP / 一酸化窒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
活性酸素種(reactive oxygen species; ROS)は生体高分子の酸化修飾を介してガン化、細胞死、老化を招く悪玉であるとされる。一方で、生体はROSを積極的に産生するNADPHオキシダーゼ等のROS産生酵素を有している。脳にもROS産生酵素が発現しているがその脳機能は不明である。本研究では、脳におけるROSの生理機能解明を目的に、ROS/8-ニトロ-cGMPシグナルが小脳運動学習及び小脳神経可塑性に関与することを明らかにする。悪玉と考えられているROSについて、運動学習を制御する善玉であるということへの、パラダイムシフトを目指す。本年度は以下の研究結果を得た; 1)ROS/8-ニトロ-cGMP系の構成成分と考えられる、8-ニトロ-cGMPおよび8-ニトロ-cGMPによる修飾で産生されるS-グアニル化タンパク質の小脳プルキンエ細胞への局在を見出した。 2)ROS消去剤(ビタミンC/E)を過剰量含む餌が、マウスの小脳依存性学習(ローターロッドおよび視規性眼球運動順応)を障害することを見出した。 3)8-ニトロ-cGMPの小脳平行線維-プルキンエ細胞シナプスにおける長期可塑性の一種、小脳長期抑圧(long-term depression,小脳LTD)への関与を小電気生理学的に解析した。8-ニトロ-cGMPの分子アナログ(8-ニトロ-cGMPS)を記録電極からプルキンエ細胞に投与すると小脳LTDが阻害されたことから、8-ニトロ-cGMPの小脳LTDへの関与が示された。 4)さらに、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)とカタラーゼの共投与によるROSの除去、およびROS産生酵素(NADPHオキシダーゼ、dualオキシダーゼ)の阻害薬apocyninにより小脳LTDが阻害され、小脳LTDを誘導する神経活動により産生されるROSの小脳LTDへの関与が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね当初の仮説を支持する結果が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
記憶を形成する刺激がROSの産生を導くのか、また、そのROSの由来をイメージングや電気生理学的に追求する。 1)前年度の研究により、ROSシグナルおよび8-ニトロ-cGMPの小脳LTDへの関与が示された。これらの結果から、小脳LTDを誘導する神経活動により産生されたROSが、8-ニトロ-cGMPの産生を介して小脳 LTDの誘導に寄与することが強く示唆される。そこで今年度は、神経細胞内ROSイメージング系を確立し、神経活動(小脳LTD誘導刺激)依存的なROSの産生を明らかにし、その分子機構についても解明を進める予定である。ROSのイメージングに用いる蛍光プローブとしては、市販の蛍光指示薬(AmplexRed)および共同研究者が作成したものの中から選択して使用する。 2)ROS/8-ニトロ-cGMPシグナル系の小脳LTDへの関与を示す上述の結果は、小脳LTDが小脳依存的運動学習の基盤とされることから、小脳運動学習時のROS/8-ニトロ-cGMPの産生および運動学習への関与を示唆する。この仮説を検証するため、小脳LTDに対する阻害効果が見られた8-ニトロ-cGMPS、SOD&カタラーゼ、apocynin等を、それぞれ小脳(片節葉)に投与し、運動学習への影響を調べる。さらに、 運動学習時における小脳における8-ニトロ-cGMPの産生を確認するため、運動学習成立直後のマウスから小脳を摘出し、免疫組織化学的手法もしくは生化学的手法により、8-ニトロ-cGMPの産生について解析する。 上記、1)、2)の研究結果が得られることで、ROS/8-ニトロ-cGMPシグナルの小脳運動学習及び小脳神経可塑性への関与が明らかとなり、これまで悪玉的側面が強調されてきたROSが運動学習を制御する善玉であるという、パラダイムシフトがもたらされることが期待される。
|
Causes of Carryover |
マウスの飼育スペースが不足したため実験用マウスの購入・飼育費が執行できなかった。次年度はマウスの飼育スペースが得られるので、マウスを購入して実験を進める。
|
Research Products
(19 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Construction and integration of the All-in-One type single double-conditional shRNA expression vectors for spatio-temporal gene and/or cell targeting2019
Author(s)
Oyamada H, Ao Y, Kudo Y, Matsuoka T, Okamoto R, Murayama T, Yamazawa T, Kakizawa S, Oguchi T, Kimura A, Yasumoto T, Mori Y, Tsuji M, Oguchi K, Kiuchi Y
Organizer
NEURO2019 第42回日本神経科学大会
-
-
[Presentation] Amelioration of potentially harmful oxidative and nitrosative protein modifications by regular exercise in aged animals: A molecular mechanism of the beneficial effects2019
Author(s)
Sataro Goto, Shuo-wen Chang, Shohei Shinozaki, Shuichi Yanai, Hideko Nakamoto, Ayako Matsumoto, Hisashi Naito, Hiroyuki Kobayshi, Masao Kaneki, Shogo Endo, & Zsolt Radak
Organizer
11th International Association of Gerontology and Geriatrics Asia/Oceania Regional Congress
Int'l Joint Research
-