2019 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of Fourier-based secure function secret sharing
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19K22849
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小柴 健史 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60400800)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 関数分散 / 秘密分散 / 暗号プロトコル / フーリエ基底 |
Outline of Annual Research Achievements |
関数分散は近年見出された新しい暗号技術であり,プライバシーを保ちつつ関数計算を分散評価させる技術で,マルチパーティ秘匿計算などに広く応用を持つと期待されている。その一方でその構築法は簡易ではなく分散させるための自由度が十分でないという問題点がある。本研究において,関数分散と呼ばれる暗号技術に新たな可能性を見出すことを目標として,関数がフーリエ関数の線型結合として表現される事実に着目する。まず,研究代表者自身によるフーリエ基底ベースの従来方式を統一的に扱うためのフレームワークを構築し,関数分散のための基盤整備を行なった。特に,少ない個数のフーリエ基底の線形結合で表現できる関数に対して,Monotone Span Program(MSP)を利用して実現されるアクセス構造を持つ線形秘密分散と組み合わせる方式の一般的性質について考察し,分散計算させるための自由度が高く,かつ,効率的に動作する関数分散を構築するための十分条件を得た。また,少ない個数のフーリエ基底の線形結合で表現でき,かつ「自然な」関数の候補としての定数段ブール回路について,フーリエ表現サイズと関数近似精度との関連について評価を行なった。さらに,秘密関数を持つディーラーが不正をはたらいてもその不正を一般ユーザが検出可能な検証可能秘密分散のアイデアを関数秘密分散に導入することを目指して,関数分散技術に要求される性質を抽出し,プロトタイププロトコルを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フレームワーク構築に関しては当初通りのスケジュールで進んでいる。定数段回路のフーリエ解析に関しては複数の既存研究があり,それらを元に関数の近似精度との関連調査についても順調にすすめることができた。関数分散の新たな性質として検証可能性概念の導入可能性については当初は単なる予想であったが,成功する見込みを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
関数分散技術を支える基礎技術としては線形秘密分散が主であったが,最新の研究成果により秘匿情報検索(Private Information Retrieval)も基礎技術として利用できることが見出されたので,PIRも含めた検討を行う。
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Causes of Carryover |
初年度につき,研究調査を重点的に行う予定であったが,新型コロナウィルス問題で,情報収集のための調査旅行が困難となった。そのため,研究を進める手段として文献調査を中心とすることになった。次年度はまだ海外旅費の利用は難しいことが予想されるので,オンライン環境の整備など代替手段を用意して予定通りの研究計画を行う予定である。
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