2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of Rehabilitation System That Controls Learned Non-use of Paretic Arm in Chronic Patients with Stroke
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19K22855
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大脇 大 東北大学, 工学研究科, 准教授 (40551908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内田 裕 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (80510578)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性期脳卒中患者 / 学習性不使用 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,脳卒中患者に対するリハビリにおける最大の障壁「麻痺肢の学習性不使用」を克服するリハビリシステムを開発,実証することにある.慢性期脳卒中片麻痺患者は,麻痺肢の機能低下,健側肢の過剰使用により,麻痺肢を使用しないことを学習し使用頻度が低下することが知られており,学習性不使用と呼ばれる.この学習性不使用は,脳に負の使用頻度依存可塑性を生じさせ,麻痺肢の運動制御に関わる脳領域が縮小する.この変化により,使用頻度がさらに低下することで機能低下を助長し,さらなる脳領域の縮小をまねく,「使わなければ機能は失う」,まさに,負のサイクルである.本研究では,麻痺肢の使用頻度依存可塑性を制御するため,表面筋電位計による両肢の使用状況を計測するウェアラブルセンサを開発し,患者ごとの理想的な筋電位パターンを強化することで正の使用頻度依存可塑性を生み出す在宅ニューロリハビリシステムを創出する.
本研究は,以下の点でこれまでのリハビリを大きく変革させる挑戦的研究である:①麻痺肢を使おうとする「運動意図」の強化による行動学習をもたらすため,単一運動の回復に留まらない,効果は重症度に依存しない,②慢性期脳卒中患者において問題となる通院,入院時のみの「点」のリハビリから継続的な効果が見込まれる「線」のリハビリに変える在宅リハシステム,③QOL(Quality of Life)の向上に直結する上肢機能の回復をもたらす.慢性期も含めた多くの脳卒中患者(2020年には約300万人と推定)の福音となるため社会的意義も大きい.
研究方法: (1) 両肢の使用状態をフィードバックする小型ウェアラブルセンサの開発,健常者における使用頻度の予備的計測, (2) 健常者における両肢の使用頻度の経時的計測,使用頻度の制御(システムの評価), (3) 片麻痺患者に対する在宅での長期的リハビリ効果の検証
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上肢運動をリアルタイムで計測し状態をフィードバックするウェアラブルセンサシステムの開発 筋電位センサを実装し上肢の運動企図を反映する表面筋電位を計測するとともに,加速度センサ,ジャイロスコープ,磁気センサを実装することで,物理的運動に関する情報も同時計測可能とするウェアラブルセンサシステム開発のためのセンサ,デバイスの選定を行い,それらを統合するシステムの設計,開発をおこなった.
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Strategy for Future Research Activity |
1. ウェアラブルセンサシステムの改良 計測したデータを無線(Bluetoothなど)で小型モバイル端末に送信し,モバイルアプリケーションによりリアルタイムでパターン解析,バイオフィードバックを行うためのセンサシステムの改良を行う.日常使用のため姿勢拘束を必要としない音情報をフィードバックするシステムを開発する.計測したデータは,自動的にクラウド上のサーバ(個人情報等は厳重に管理)へとアップデートされ,病院などからリアルタイムでモニタできると同時に,介入に関するパラメータ,リハビリ達成度の客観的調整により学習効果を促進する. 2. 健常者および片麻痺患者の両肢の使用頻度の計測 さらに,2020年度は,システム検証のため,健常者10名,片麻痺患者5名に対して,日常生活中(6時間程度)の両肢の使用状態を計測する.筋電位解析により使用頻度の高い筋電位パターンを抽出し,強化学習的介入の基礎データとする.また,介入に効果的な音提示法,使用頻度の閾値の調整法など,効果的な学習を促進するためのシステムの微調整も行う.
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Causes of Carryover |
研究計画が概ね計画通りに進んだため,予定より使用金額が下回ったため. 次年度は,ウェアラブルセンサの改良と,健常者,片麻痺患者ので試験的計測に対して,研究費用を計画に合わせて当てる予定である.
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Research Products
(2 results)