2019 Fiscal Year Research-status Report
Automatic Generation of Biometric Data Incorporating Individual Characteristics by Deep Learning
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19K22859
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
北川 博之 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (00204876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 和正 筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (60817112)
塩川 浩昭 筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (90775248)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 生体データ / 深層学習 / 個人特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は,主にマウスの脳波を対象としてそのスタイル変換が可能か検討した.マウスの脳波は特に睡眠の基礎研究等で用いられており,信号中のノイズがしばしば問題となる.マウス脳波信号中のノイズを生体信号中の「スタイル」と捉え,これを操作(除去)するモデルについて検討した.本モデルは敵対的生成ネットワークをベースとし,その学習則をスタイル変換・ノイズ除去に特化させることで,事前知識なくノイズ除去手順を獲得する.本モデルを実装した評価実験を行ったところ,本モデルは定常的に発生するホワイトノイズ等への対応は十分とは言えないものの,非定常的に発生する身体動作由来のノイズ等に対する除去性能に優れていることを確認した.本研究で対象とする計測対象者の個人差,「年齢に由来する信号の鈍り」等は,様々な対象全体からみると非定常的に出現することから,本モデルが有効である可能性がある. 本研究課題に関する他の検討項目としては,自然言語や写真,イラストを対象に複数のスタイル変換手法の開発を行い,スタイル変換の各アプローチや深層学習モデルの構造が結果にいかに影響するか考察を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度は,本研究の本質であるスタイル変換について,多くの知見とノウハウを得ることのできた一年であった.しかし一方で,当初の目的であったヒト生体信号における属性の変換に取り掛かることができなかった.スタイル変換を行う場合,入力を「スタイル」と「コンテンツ(操作すべきではない情報)」の2つに分離する必要がある.他の関連プロジェクトとも連携して,生体信号から「コンテンツ」となる特徴的な波形を検出する課題に取り組んでいるが,当初の想定よりもスタイルとコンテンツの分離が難しく,技術的難度が高いことが分かってきた.例えば,アプローチの一つとして考えていた絵画のスタイル変換モデルの応用では,スタイル変換時に特徴波形をゆがめてしまう可能性が大きいことが分かってきた.次年度はこれらの問題点への対応に努力する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方針としては,生体信号の「スタイル」と「コンテンツ」の分離をいかに達成するかが一つのポイントとなると思われる.方法としてはいくつかのやり方が考えられるが,現時点では生体信号中のコンテンツの検出手法をモデル内に組み込むことを考えている.例えば,変換前と変換後の信号において,コンテンツ検出の結果はなるべく変化させず,かつ被験者の個人差を大きく反映するようにモデルを最適化することができれば,特徴波形のゆがみについては解決できると思われる. また,セマンティックセグメンテーションからの画像生成手法も応用できる可能性がある.これは,画像内のどの位置に何が描かれているかを表すセマンティックセグメンテーション画像から写実的な画像を生成する手法である.操作すべきでない生体信号波形をセマンティックセグメンテーションにより直接モデルに伝えることで,より自然な生体信号生成が可能と思われる. これらのモデル開発については,試行錯誤的な手法を取らざるを得ないと考えている.このため,高性能GPUを搭載した計算機環境を強化すると共に,共同研究機関から提供いただいた睡眠時生体信号を学習サンプルとして活用し,モデル開発を進めていく予定である.
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Causes of Carryover |
令和元年度末に情報収集のための国際会議参加と成果発表のための国内会議参加を予定していたが,COVID-19の影響により,予定していた旅費や学会参加費の執行ができなくなった.人件費・謝金については,研究進捗の若干の遅れにより令和元年度の執行の必要性がなくなった.これらの理由で生じた令和2年度使用額については,令和2年度当初予算額と併せて執行予定である.特に,当初予算では令和2年度は少額の物品費しか計上していないが,上記の通り,実験環境をより強化することが必要になっているため,その不足分を含めて活用する予定である.
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Research Products
(2 results)