2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K22872
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 裕一 京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (40227947)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | ユーザインタフェース / 注意 / 筋活動 / 注意分配・分割 / 注意による筋活動の変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,注意の状態が姿勢変化や筋活動として外部表出される過程のモデル化,および,筋活動などの動作計測によって逆に注意の状態を推定するための基礎的な研究を行っている.2019年度は頭部運動の計測・分析を中心に研究を進めた. (a) 作業による頭部動作と視線の関係: 注意の状態を最も顕著に反映するのが視線と頭部の動作であるが,本研究では視線計測以外の方法を探ることを目的としており,頭部運動の分析を重点的に行った.状況としては机上作業を設定し,頭部運動が習熟・慣れや注意の状態によって変化する状態を分析し,視線よりも良い指標となり得ることを確認した(発表予定:採択済み). (b) 日常生活における頭部動作の計測と分析: 日常生活における頸部の筋活動を計測し,動作要素のアルファベットと呼ぶべき頸の短時間の動作パターンの類型化を行った.意図の違い,注意の有無(強さ)による筋活動の変化,および,それを説明するための意図・動作モデルの検討を行っている(発表準備中). (c) 機械の組立作業における動作と筋活動の計測と利用: 人間の注意の状態に応じて機械やロボットが支援を行う必要のある一つの例として組立作業を設定し,画像計測・IMU計測その他による姿勢・筋活動の計測環境を構築するとともに,機械から人間に物体を手渡しする簡単なテストベッドを実装した.これは,人間の動作状態に応じて機械側の保持力(補助)を減らしていくことにより,物体の重さを人間に渡す仕組みとなっている.これを用いて人間の注意の配分状況を基に機械側の動作を変化させることによって,注意の推定,注意に応じた支援の制御などの有効性を検証していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は頭部運動の計測・分析を中心に研究を進めたが,これらを腕・肩などの上半身の動作に拡張しながら研究を進めていく予定である.そのための準備がある程度整えることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に得られたデータ,その分析結果,また,計測・作業支援環境を用いて,2020年度は以下のように研究を進めていく予定である. (a) 注意による首周りの動作の変容: これまでデータを収集してきた状況に対し,様々な追加的な条件設定により注意の状態を変化させ,動作の変容を確認する.これを基に姿勢・筋活動などを用いた注意状況の推定の可能性とその精度を確認していく.注意の状況によって統計的な情報に差が出ることはこれまでの研究によって明らかになってきているが,動作には大きなゆらぎがあり,一回の動作から注意状態の推定が可能かどうかについては検討ができていない.2020年度に分析と検証を行う予定である. (b) 注意による振り向きの変容: 振り向き動作は頭部による動作だけでなく,背中や腹部の筋の活動による上体のひねりが起こる.これらの姿勢変化や筋活動の大きさ,また,首周りの運動とのタイミングの同期などが注意の状態を良く反映していることが推定されている.これらの予想に基づいた動作変容の計測,その分析を行う.また,首周りの動作と同様に,動作計測結果からの注意状況の推定が可能であることを検証していく. (c) 注意による腕動作の変容: 振り向き動作と同様に,物体へのリーチング動作などにも注意状況が反映されることが想定される.腕周りの姿勢・筋活動の変容を,個々の要素の変容から首周りや胴体の動作との相互関係の変容などを含めて分析し,注意の状況を推定するための検討を行っていく. 以上の検討を基に,姿勢計測・筋活動の計測から,これまで扱われてこなかった,体動からの注意状況の推定が可能であることを検証していく予定である
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Causes of Carryover |
コロナウィルス対応のために1-3月の出張,および,被験者実験も抑制する必要があったため執行残が出たが,2020年度後半で実験や研究発表を増やし,有効に活用する予定である.
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