2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K22872
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 裕一 京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (40227947)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | ユーザインタフェース / 注意 / 筋活動 / 注意分配・分割 / 注意による筋活動の変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,注意の状態が姿勢変化や筋活動として外部表出される過程のモデル化,および,筋活動などの動作計測によって逆に注意の状態を推定するための基礎的な研究を行っている.2020年度はコロナ禍のために被験者実験の制約が強くなったため,(2019年度に想定した)2020年度の計画のうちインタラクティブな実験の多くを2021年度に繰り越して実行する旨,計画の変更を行った.このような状況の下で,2020年度の研究経過は以下のようになっている. (a) 動作における筋協調の分析と動作の予測 人間の一般的な動作における複雑な協調関係が筋シナジーとして比較的簡潔に捉えられることがわかっている.この筋シナジーの時間パターンを深層ネットワークに学習させれば,短時間後の動作状態を予測できることを実験的に確認しつつある.本研究では,そのシナジーが状況や状態に応じて変化する可能性と,このような場合にも安定して予測を行う方法を探っており,良い結果が出つつある.(発表準備中) (b) 動作アシストデバイス使用時の合図や注意の有無による変化 パワーアシストデバイスなどを使用する場合を想定し,注意の有無による利用者の挙動の変化,作業者にかかる負担や動作精度などとの関係を調査した.具体的には,動作に応じて肘関節の拘束(抵抗の付加など)を行うデバイスを試作し,筋の賦活の程度や動作の精度について調査を行った.その結果,注意や期待感の有る場合には,主動筋・拮抗筋双方の筋活動を抑制するように動作が行われ,また,外部環境をうまく利用するように制御が行われること,それを筋賦活のタイミングや周波数特性から読み取れることなどがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度はコロナ禍のために被験者実験の制約が強くなったため,(2019年度に想定した)2020年度の計画のうちインタラクティブな実験の多くを2021年度に繰り越して実行する旨,計画の変更を行った.ただし,自前で試作した動作支援機器を利用した実験などを加えることができるなど,当初は予定していなかった方向性も見えてきつつある.2021年度はこれらを腕・肩などの上半身の動作に拡張しながら研究を進めていく予定である.そのための準備がかなり整ってきている.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度,2020年度に得られたデータ,その分析結果,また,計測・作業支援環境を用いて,2021年度は以下のように研究を進めていく予定である. (a) 注意による首周りの動作の変容: これまでデータを収集してきた状況に対し,様々な追加的な条件設定により注意の状態を変化させ,動作の変容を確認する.これを基に姿勢・筋活動などを用いた注意状況の推定の可能性とその精度を確認していく.注意の状況によって統計的な情報に差が出ることはこれまでの研究によって明らかになってきているが,動作には大きなゆらぎがあり,一回の動作から注意状態の推定が可能かどうかについては検討ができていない.2021年度に分析と検証を行う予定である. (b) 注意による振り向きの変容: 振り向き動作は頭部による動作だけでなく,背中や腹部の筋の活動による上体のひねりが起こる.これらの姿勢変化や筋活動の大きさ,また,首周りの運動とのタイミングの同期などが注意の状態を良く反映していることが推定されている.これらの予想に基づいた動作変容の計測,その分析を行う.また,首周りの動作と同様に,動作計測結果からの注意状況の推定が可能であることを検証していく. (c) 注意による腕動作の変容: 振り向き動作と同様に,物体へのリーチング動作などにも注意状況が反映されることが想定される.腕周りの姿勢・筋活動の変容を,個々の要素の変容から首周りや胴体の動作との相互関係の変容などを含めて分析し,注意の状況を推定するための検討を行っていく. 以上の検討を基に,姿勢計測・筋活動の計測から,これまで扱われてこなかっ た,体動からの注意状況の推定が可能であることを検証していく予定である.
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナ禍のために被験者実験の制約が強くなったため,(2019年度に想定した)2020年度の計画のうちインタラクティブな実験の多くを2021年度に繰り越して実行する旨,計画の変更を行った.
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