2021 Fiscal Year Annual Research Report
疲労やモチベーションなどの内的な状態により変化する脳の余裕度定量評価
Project/Area Number |
19K22887
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
成瀬 康 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 室長 (00455453)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 脳波 / 余裕度 / TRF |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,脳波から「脳の余裕度」を定量的かつリアルタイムに評価できる手法を開発することである.疲労を感じた場合集中力が低下するなどして作業ミスなどが生じる.しかし,作業ミスを発生させる原因は,精神的,身体的な疲労の結果,脳に「余裕」がなくなったことにより,作業に対する集中が出来なくなったからであると考えられる.つまり,様々な疲労による脳への影響は様々であると考えられるが,ミスに直接的につながる「脳の余裕度」をリアルタイムに計測することが出来れば,作業ミスなどを防ぐことが出来る可能性がある.これまで,聴覚定常状態応答が脳の余裕度に従って変化する可能性が示唆されている.つまり,脳の中で余裕が無くなると聴覚に対する反応が下がってくるのである.しかし,聴覚定常状態応答は非常に単調な音を聞かせるだけであるため,実験参加者に負担が大きい. 令和3年度においては,ラジオニュースと無声動画を見ているときに1.ラジオニュースに注意を向ける,2, 無声動画に注意を向ける,および,3. ラジオニュースのみを聞いてラジオニュースに注意を向けるという3つの課題を実施し,のべ,30名から脳波データを取得した.そして,ラジオニュースの音声刺激のエンベロープ情報を取り出し,このエンベロープ情報に対するtemporal response function (TRF)を求めた.その結果,これら3つの課題時においてTRFが有意に変化することを明らかにした.3つの課題でそれぞれ,脳への負荷が異なっていることから,脳の余裕度が異なっていると考えられるが,TRFを用いることで脳の余裕度が推定できる可能性があることが示唆された.
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