2020 Fiscal Year Research-status Report
Game refinement theory - Paradigm shift from performance optimization to comfort in mind
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19K22893
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
飯田 弘之 北陸先端科学技術大学院大学, その他, 理事 (80281723)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 思考の世界の力学 / スリル観 / 没入観 / 乗り心地 / 遊び心地 / 共謀数 / ゲーム洗練度理論 / ゲーム依存症 |
Outline of Annual Research Achievements |
思考の世界の運動モデルを構築し,試合展開に関する力学アナロジーとしてのゲーム運動および勝敗予測や形勢判断に伴うプレイヤの心の運動を力学的に解析する方法を考案した.そして,思考ゲームやスポーツをはじめとする様々なエンターテインメントシステムを題材として提案モデルの妥当性を検証し,対象ゲームの遊戯性解析法の確立を目指した.本研究成果の概要を以下の通り整理する.(1)思考ゲームを題材として,人工知能によるゲームプレイで抽出される解の安定性を示す共謀数に関連する探索指標とゲームの遊戯性の関係性を示した.例えば,ある試合展開パターンでのプレイヤが感じるであろうスリル感の度合いなどを定量的に推定する.結果として,機械学習などを取り入れた人工知能は単に強いだけでなく,人間プレイヤの情感を理解する方面での飛躍的な進歩が期待できる.(2)ジェットコースターを題材として,思考の世界の力学モデルで導出される情報変位としての速度や加速度などの物理量を用いて,乗り心地と遊び心地を比較し,遊戯性の観点から橋渡しとなる類似性をあぶりだした.(3)アーケードゲームと呼ばれる種類のゲームシステムは我が国でも産業面で大いに成功しているエンターテインメント分野であるが,その特性など十分に解明されていない.思考の世界の力学モデルを適用することで,実際のプレイデータを分析し,人々の心を惹きつけて夢中にさせる没入感の主要因となっているのは,不確定性の時間変位によるスリル感と加速度の変位が揺らぎをもたらし容易に飽きられない.(4)パズルを題材として,不確定性減少率の定義に関する深い考察が得られた.ゲームとパズルの境界,および,思考の世界の運動モデルの観点からその境界の意味することを検討した.パズルの歴史が決定論的なものから確率的なものへと変遷してきたことの意義を実際のパズルのデータを分析することで明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響により,思ったより研究に集中できる時間に恵まれ,研究論文を多数執筆し,研究成果のほとんどを国際ジャーナル誌に発表することになった.一方,国際会議での発表による専門家からの有意義なフィードバックを期待したが,残念ながらそのような機会が得られなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究テーマの骨子となる部分はほぼ確立した.思考の世界の力学に関する提案アイデアを,産業化を含めより広範に応用可能とするため,社会経済(不平等を解消するゲームという視点で)のゲームの解析をはじめとした実際面での応用を重点的に検討したい.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により当該分野の国際会議での発表ができなかったため,旅費等で繰越が生じた.なお,本研究の過程で大変有望な結果が得られたので,その実世界応用をさらに検討・推進するための経費として使用予定である.
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