2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of multiple classification and comparison methods of cells based on information criteria and their applications to Cell Atlas
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19K22894
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松田 秀雄 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (50183950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬尾 茂人 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (30432462)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 1細胞RNAシーケンス / 細胞アトラス / 遺伝子発現解析 / バイオインフォマティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスの胚性幹細胞(以下、ES細胞)に分化誘導をかけて主に神経細胞に分化させた経時的な分化過程において、シングルセルRNAシーケンスデータを取得し、そこに含まれる細胞の細胞種を推定した。種々の細胞種のラベルのついたバルクRNAシーケンスデータをリファレンスとして、各細胞がどの細胞種のリファレンスに近いかを判別することで細胞種の予測を行った。 次に、このデータに対して細胞系譜の推定を行った。この細胞系譜推定では、ES細胞の集団を分化の出発点として与えるだけでなく、複数の可能な細胞系譜候補のうちで、前述の細胞種予測の結果を利用して、中間的な前駆細胞の集団から、さらに分化の進んだ細胞の集団への細胞系譜が選択されるように、推定手法のパラメータを調節した。 さらに、この細胞系譜推定手法を、マウスの骨髄や脾臓、末梢血から採取した顆粒球細胞(末梢血由来の細胞ではLPSやGM-CSFで経時的に刺激)のシングルセルRNAシーケンスデータに適用した。その結果、骨髄での細胞集団を始点として、炎症の進行過程を反映した細胞系譜が推定されることを確認した。 以上の推定で得られたそれぞれの細胞系譜に沿って発現変動する遺伝子群を、発現変動遺伝子解析により検出した。その結果、ES細胞の神経細胞分化では、細胞分化の調節に関与することが知られているいくつかの転写因子が検出された。また、炎症進行過程では、炎症のパスウェイに属する遺伝子群が検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分化誘導をかけマウスES細胞から経時的に取得したシングルセルRNAシーケンスデータに対して、本研究での細胞種予測・細胞系譜推定手法を適用したところ、ES細胞から神経前駆細胞を経て、神経細胞へと分化する一連の細胞系譜が推定された。また、LPSやGM-CSFで経時的に刺激したマウスの末梢血から採取した顆粒球細胞のシングルセルRNAシーケンスデータに適用したところ、顆粒球細胞が刺激時間に応じて炎症が進行する過程を細胞系譜として推定することができた。 以上の推定で得られたそれぞれの細胞系譜に沿って発現変動する遺伝子群を、発現変動遺伝子解析により検出した。その結果、ES細胞の神経細胞分化では、細胞分化の調節に関与することが知られているいくつかの転写因子が検出された。また、炎症進行過程では、炎症のパスウェイに属する遺伝子群が検出された。 以上のように、本研究では解析手法の開発はおおむね進展しているが、解析結果を細胞アトラスと比較・照合することにより、細胞種の予測結果や発現変動遺伝子の検出結果の精度や妥当性を評価する必要があるため、研究期間を1年間延長して取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、経時的に取得したシングルセルRNAシーケンスデータに対してクラスタリングを行い、各クラスタについてそこに含まれる細胞の細胞種を予測し、その結果を基に細胞系譜の推定を行う。このため、最初のクラスタリングや細胞種の予測に誤差が含まれていると、それが次の細胞系譜の推定の結果に影響を及ぼす。そこで、細胞系譜推定の結果を前段のクラスタリングや細胞種の推定にフィードバックして、前段の処理結果を修正することで、前段の結果に含まれる誤差の影響を抑える手法の開発を目指す。 また、得られた細胞系譜の推定結果から、各細胞系譜に含まれる細胞群を抽出し、疑似時系列に応じて、時系列上での発現変動遺伝子の探索を行う。 さらに、本手法で予測された細胞種や発現変動遺伝子を、細胞アトラスに登録されたデータと比較・照合することで、細胞種の予測結果や発現変動遺伝子の検出結果の精度や妥当性を評価し、手法の改良につなげていく。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大による緊急事態宣言の発出のため、研究協力者による解析結果の評価や生物学実験等による検証が十分に行えず、研究計画に遅延が生じた。このため研究期間を1年間延長して取り組むことになり、次年度使用額が生じた。 次年度には、解析結果の評価・検証を行うことで、解析手法のさらなる精度向上を目指すための物品費や、研究成果を国際会議発表や論文発表等で公表するための会議参加費、論文投稿料等で当該助成金を使用する。
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