2019 Fiscal Year Research-status Report
尿・血中のmiRNAから必須元素の健康影響を予知・診断する
Project/Area Number |
19K22907
|
Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
矢嶋 伊知朗 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (80469022)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
Keywords | 元素 / 皮膚 / miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
元素が与えうる健康影響をmiRNAの発現解析によって明らかにすることを目的として、様々な曝露試験を実施した。特に皮膚は様々な環境因子に曝露する最前線であるため、ヒト皮膚角化細胞株(HaCaT)及びメラノサイト培養細胞株(malan-a)を用いて研究を実施した。 HaCaT及びmelan-aに対して複数の組み合わせで元素曝露を実施し、曝露期間1日ー5日間で条件を変えつつ細胞毒性発揮の条件を解析した。また、毒性発揮が最大となるタイミングでmiRNAを抽出し、miRNAの発現パターン解析を行った。解析の初期ステップではマイクロアレイ解析を行い、元素曝露によって発現量が変化する候補miRNAを同定した。 候補miRNAの発現パターン解析をその後行った。発現パターン解析はHaCaT細胞の増殖変化及びアポトーシスレベルの変化、melan-a細胞の増殖変化、アポトーシスレベルの変化及びメラニン産生量変化と、miRNAの発現量の変化の関連性を解析した。候補miRNAはHaCaTとmelan-aの増殖活性に影響を与えるmiRNA (#001, #002, #003)、HaCaTとmelan-aののアポトーシスに影響を及ぼすmiRNA(#004, #005, #006)そしてmelan-aにおいてメラニン産生に影響を及ぼすグループの3グループに大別された。この結果は、マイクロアレイ解析によって得られた候補miRNAが細胞の表現型発露に重要な機能を果たしており、これまで知られていない新たなネットワークが存在することを示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り細胞レベルの機能解析に進んでいる。マイクロアレイ解析による候補miRNAのピックアップにも成功し、且つそれらのmiRNAが元素曝露による様々な細胞影響に関与している可能性も示唆されており、個々までおおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果をもとに、1)培養細胞を用いた解析及び2)実験動物(マウス)を用いた解析を実施する。培養細胞実験では、ここまでに同定された候補miRNAの機能について解析する。各候補miRNAを人工合成し培養細胞へトランスフェクションすることでターゲット遺伝子発現の量的変化を引き起こすことで、元素曝露誘導性の形質発現への影響を解析する。 主に増殖活性・アポトーシス活性・メラニン産生量の変化に着目する。また表現型だけでなく、細胞内シグナル経路や関連遺伝子発現パターンの変化にも着目し、表現型の発露に関わる機構を解明する。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額として計上した金額は当初、細胞実験における曝露試験や発現量解析の試薬等に使用する予定であった。しかし一部の実験は翌年度実験と共有した実験計画によって実施可能あることが判明した。 よって本年度購入予定の試薬を来年度実施予定の実験試薬と合わせての購入計画により、次年度使用と決定した。
|