2021 Fiscal Year Research-status Report
窒素同位体モデルを用いた新たな古海洋窒素サイクル解析手法の確立
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19K22917
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
吉川 知里 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学センター), 副主任研究員 (40435839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重光 雅仁 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋観測研究センター), 研究員 (20511695)
山本 彬友 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), 特任研究員 (30794680)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 窒素同位体比 / 古海洋 / 窒素同位体モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋表層水中の硝酸濃度は、海洋の一次生産を決める主要な要因である。それゆえ、海洋全体の生物生産量を決める要因であるとともに、海洋の炭素サイクルを駆動するエンジンである。したがって過去の海洋変動を理解する古海洋学にとって、海洋表層の窒素循環は長らく研究の本丸と見なされてきた。この重要な地球環境要素を復元するため、海底堆積物に含まれる全窒素の窒素同位体比がこれまでプロキシ(代替指標)として用いられてきた。しかし、窒素同位体比の解釈は単純ではなく、海洋表層の一次生産者の窒素同位体比は、大きく分けると3つの要因によって決まる。つまり、窒素同位体比記録の解釈には複数の可能性が生じるため、その海域の特性に応じた解析が必要となる。そこで本研究では、窒素同位体モデルを用いて、海域特性に応じた窒素同位体比記録の解析手法を提示する。 本年度は、前年度に構築した全球海洋窒素同位体モデルの現在気候における窒素同位体比の季節変化に対してクラスター解析を行い、各海域において窒素同位体比の季節変化を引き起こす要因について考察した。窒素同位体比の季節変化は、11のクラスターに分類された。脱窒が起こっている海域とその周辺海域では、年間を通して平均よりも高い窒素同位体比を示し、窒素固定が起こっている海域とその周辺海域、硝酸の利用効率が低い海域では、平均よりも低い窒素同位体比を示した。本解析により、全球窒素同位体比分布は、主に脱窒・窒素固定・硝酸の利用効率によって規定されていることを明らかにした。また本年度は、海底表層堆積物の全球窒素同位体比データの収集と沈降粒子の全球窒素同位体比分布の比較を行うとともに、堆積モデルの開発も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、氷期の窒素同位体比分布を作成する予定であったが、情報インシデントのため、2021年3月から9月までの間、実験に使用していた計算機へ接続できなかったため、計画はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本年度に予定していた氷期の窒素同位体比分布の作成と、氷期の窒素同位体比変動パターンの類似性に基づくクラスター解析を行い、現在と氷期の窒素同位体比の季節変動特性を比較する。
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Causes of Carryover |
本年度は技術補佐員を雇用する予定であったが、条件に合う人材が見つからなかったため、本年度前半は研究代表者が予定していた作業を行った。本年度後半から雇用した技術補佐員を来年度も引き続き雇用することを検討している。
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