2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of real-time measurement technique of isocyanate in living environment
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19K22920
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸野倉 賢一 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (00260034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 裕之 東京電機大学, 工学部, 教授 (60419124)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | イソシアネート / 生活環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
イソシアネートは、我々の生活空間において幅広く使われている物質の原材料であり、ポリウレタン樹脂への熱・紫外線・機械的作用で分解発生することが知られている。その人体に対する有毒性はホルムアルデヒドより低濃度で出現する。本研究では、これまで環境動態把握が困難であった最も単純なイソシアネートであるイソシアン酸を対象とし、レーザー吸収分光法に基づくリアルタイム測定を可能にする新しい測定技術を確立し、装置開発することを目的とした。 まず第一に、シアヌル酸の熱分解による気体状のイソシアン酸の標準試料の生成法を構築した。シアヌル酸を300℃以上に加熱できる加熱装置をくみ上げ、発生したイソシアン酸を酸化触媒により二酸化炭素に変換し二酸化炭素計で二酸化炭素濃度を計測することにより、イソシアン酸濃度の定量を行う技術を構築した。 イソシアン酸は、2.8μmの赤外領域と4.4 μmの赤外領域に強い吸収帯が存在するが、水、 ニ酸化炭素、亜酸化窒素等排ガス成分の吸収も重なるので、最適な吸収線を選択する必要がある。既報のイソシアン酸の分子パラメータ基に、スペクトルシミュレーションを行い、また、FTIRでの分光実験結果との相互検討から二酸化炭素等の干渉ガス影響を除くことができる吸収線を選択した。この結果を基に、レーザー分光光源として用いる量子井戸レーザーの発振波長を決定した。 光路長50㎝の光学セルを用いた直接吸収法によるイソシアン酸のレーザー分光検出実験を行い、2.8μmの赤外領域においては大気圧下でニ酸化炭素の吸収の干渉なしに、高い選択性をもってイソシアン酸を検出できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イソシアン酸の標準試料の生成やレーザー分光法を用いた検出実験に成功しており、研究計画に対しておおむね順調に進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後イソシアン酸の大気測定および自動車排気とバイオマス燃焼排気の測定を行う。自動車排気測定については、アイドル状態の自動車排気をリアルタイムで開発装置に導入し、排気中のイソシアン酸を測定する。バイオマス燃焼排気測定については廃材燃焼時の排出挙動を測定しCO等の他の排出ガスとの相関関係を調べ、その排出機構を明らかにする。 可搬装置の開発を前倒しで行い、研究遂行の促進を図る。
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Causes of Carryover |
バイオマス燃焼を行う装置の改良が必要であり、本年度の使用予定額を次年度に回すこととした。
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