2020 Fiscal Year Research-status Report
バブル態メタンの土壌内挙動の解明とメタンガス運命予測モデルの構築
Project/Area Number |
19K22921
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱本 昌一郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30581946)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常田 岳志 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 主任研究員 (20585856)
小島 悠揮 岐阜大学, 工学部, 准教授 (70767475)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
Keywords | メタンバブル / 水田 / X線CT |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、模擬水田土壌カラムを用いたメタンバブル挙動に関する室内実験を行った。本研究課題で研究対象とするつくば市の水田土壌から採取した攪乱土壌を直径5cm高さ6cmのアクリル製カラムに水中充填し、恒温室内にて約1か月培養した。稲わらを混入したカラムを準備し、稲わら投入によるメタンバブル生成速度の違いを検討した。カラムにはThermo-TDRを設置し、培養期間中の誘電率および熱特性変化を調べた。結果、稲わら投入カラムでは培養開始から1週間程度でメタンバブルの生成が見られ、バブル生成に伴って誘電率および熱物性の変化が見られた。特に、誘電率と熱容量はバブル量の増加とともに低下し、次年度実施するメタンバブルの生成量評価に関する現場モニタリングに関してこれらの物理量が有効な指標となることが確認できた。一方、稲わらを投入しなかったカラムでは、培養期間中バブルの生成は確認できなかった。このように、室内実験を通して有機物施用によりメタンバブルの生成が促進されることが確認できた。また、稲わらを投入したカラムを用いてX線CT撮影を行った。地表面から3㎝深度でメタンバブルの存在が確認でき、画像解析から個々のバブル体積や等価径、個数を算出した。一方で、湛水直下ではメタンバブル存在量は少なく、メタンバブルの深度分布について貴重な実験データが得られた。今後は培養温度や稲わら投入割合など諸条件を変化し、環境条件とメタンバブル生成速度に関する実験データを蓄積する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度コロナ禍の影響で予定していた現場モニタリングが実施できなかった。現場モニタリングは2021年度に実施する予定である。一方、室内実験からメタンバブル生成に関する基礎的な実験を行い、メタンバブル定量に用いるセンサーの有効性やX線CTによるバブル定量に関する重要な実験データを得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、室内実験においてメタンバブル生成に関与する環境条件を評価するのに加え、現場モニタリングを実施する。現場モニタリングでは、稲わら投入の有無、水稲の有無など、計12プロットを準備し、室内実験で用いたセンサー類を埋設する。定期的にメタンフラックスをレーザーメタン計で観測し、メタンバブルの放出挙動について明らかにする予定である。また、得られた結果をもとにメタンバブル動態を再現するモデル構築を行う。
|
Causes of Carryover |
本年度はコロナ禍のため、予定していた水田圃場でのメタンバブル放出挙動に関する現場モニタリングが実施できなかった。したがって、現場モニタリングで使用予定だったセンサー類を購入しなかったため残額が生じた。本課題は2021年度まで延長することとし、次年度に残額分を使用してセンサー類の購入を行う予定である。
|