2021 Fiscal Year Research-status Report
バブル態メタンの土壌内挙動の解明とメタンガス運命予測モデルの構築
Project/Area Number |
19K22921
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱本 昌一郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30581946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常田 岳志 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 主任研究員 (20585856)
小島 悠揮 岐阜大学, 工学部, 准教授 (70767475)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | メタンバブル / 水田 |
Outline of Annual Research Achievements |
茨城県つくば市谷和原に位置する農研機構 農環研所有の水田圃場を対象とし、水田からメタンフラックスモニタリングを実施した。有機物施用の有無や、水稲の有無、気象条件および土壌環境が、形態別メタンフラックスに与える影響を調べた。測定期間は、2021年6月8日から2021年9月24日までで、圃場は継続して湛水を行った。測定は午前中に行い、6月8日から7月5日までの栄養成長期に4回、7月6日から8月4日の生殖成長期に4回、8月5日から9月24日までの登熟期に7回、の計15回行った。栽培期間中、土壌水分量測定のため、各処理区につき深度5cmと、10cmに水分土壌センサーを設置し、データロガーにより1時間間隔で計測した。 メタンフラックス測定は、閉鎖式チャンバー法を採用し、0.9秒間隔でメタン濃度をppb-ppmレベルで測定できる高精度ガス分析機(G4301, Picarro Inc.,Santa Clara, CA, USA)を用いた。モニタリング結果から、メタン放出量の多い登熟期において、バブル態メタンフラックスが50%以上の割合を占める期間があり、バブル態メタンフラックスが重要なメタン放出経路となること、有機物施用がバブル態メタンフラックスを増加させることが明らかとなった。生育段階ごとの、環境要因による変化はうまく説明されなかったものの、今後は形態別フラックスの日変動と環境要因の関係を調査し、検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までコロナ禍の影響で、フィールドでのモニタリングが実施できなかったものの、今年度は滞りなく実施することができた。登熟期においてバブル態メタン放出が主要な放出経路となることを明らかにするなど水田からのメタン放出に関する重要な知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度モニタリングでは、土壌水分センサーを用いて水田土壌内部の気相率の定量化を試みたものの、センサーキャリブレーションに課題を残した。今後は、現地での気相率(土壌体積当たりの気相量)を直接測定するために、別途Pot埋設区を作るなどの工夫を行う予定である。また、気相中メタン濃度および溶存メタン濃度の測定をフラックス測定と同時に行い、地下メタンバブルの分布や挙動について詳細なデータを蓄積する予定である。これらのデータを統合し、水田からのメタンバブル放出機構に関する考察を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、当初予定よりもフィールドモニタリングの開始年度が遅れた結果、次年度に本プロジェクトを延長し再度フィールドモニタリングを実施することになった。次年度のモニタリングに必要な消耗品類購入費用を繰り越すこととなった。
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