2019 Fiscal Year Research-status Report
Visualization of radioactive substances in an extremely high-dose environment
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19K22924
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
有元 誠 金沢大学, 先端宇宙理工学研究センター, 助教 (40467014)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | ガンマ線 / 超高線量 / 光子計数 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
福島原発の廃炉を実現する上で、放射性核燃料デブリの位置同定を行うことが喫緊の課題となっている。そこで本研究では、このデブリの可視化を実現するべく、超高線量下でのガンマ線イメージングに挑戦する。ここで想定される炉内の超高線量の環境下では、その線量は~500シーベルト毎時におよび、ガンマ線のカウントレートに換算すると~100 MHz/mm^2 と想定される。このような状況の場合、直接デブリから放出されるガンマ線のほかに、炉内で多重散乱されたガンマ線が多く存在する。そのためこの散乱ガンマ線によって、核燃料デブリの位置同定が極めて困難となる。そこで本研究は、個々のガンマ線を捉えることが可能な光子計数型のガンマ線イメージャーの開発を目指している。これにより、光子の到来方向と共にエネルギー情報を得ることで、デブリの位置同定を妨げる散乱ガンマ線の影響を極限まで抑え、デブリそのもののイメージングを実現する。 本年度では、この高いカウントレートで到来するガンマ線の信号を高速処理することができるエレクトロニクス開発を主に行った。本研究方式では、ピンホールカメラを主とした方式をとっており、この場合、ガンマ線を検出するピクセル検出器では、数 MHz/ピクセルの検出レートになると想定している。このような高いカウントレートでも、光子イベント同士がオーバーラップすることなく、光子のエネルギーを測定しつつ、光子数を計測できる集積回路の性能評価を実施した。この集積回路は、研究実施者が独自に医療用X線CTイメージングのために開発したエレクトロニクスであり、本研究へ新たに応用する。そして、その詳細な性能評価の結果から十分な高カウントレート耐性が持つことがわかった。今後は、この集積回路とセンサーを組み合わせることで、ガンマ線の計測実験を行なっていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の想定では、ガンマ線信号読み出しを司る集積回路エレクトロニクスとガンマ線検出センサーを組み合わせた評価を本年度で実施する予定であった。しかし、集積回路を読み出すためのセットアップ構築および性能評価に想定以上の時間がかかってしまったため、ガンマ線センサーを組み合わせた実験を行うことができなかった。一方で、この評価を慎重に進めたことで、開発した集積回路の特性を詳細に把握することができたため、来年度以降のガンマ線センサーと組み合わせた試験をスムーズに進めることができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で行ったガンマ線計測用集積回路の評価結果をもとに、来年度ではガンマ線検出センサーと組みあわせた試験を実施する。ここでガンマ線検出センサーは、シンチレータと次世代半導体素子マルチピクセルフォトンカウンターによって構成されたものであり、これらを2次元上にピクセル配置する予定である。またこの検出器構成の場合、ピクセルを高密度に配置することが必要であり、現在のセラミックパッケージに封止した集積回路では読み出し基板サイズが大きくなってしまう問題が生じている。そのため、この課題を解決するために、開発した集積回路を低温同時焼成セラミック(LTCC)基板とすることでコンパクト化を目指す。このLTCC基板開発のためには、基板設計はもちろんのこと、詳細な集積回路の性能把握が必須であるため、前年度に引き続き、集積回路の性能評価も実施していく。これに加え、本研究が目指すガンマ計測では、最大 1 MeV 程度のエネルギーを計測する必要があるため、その広いダイナミックレンジの計測の検証についても行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、ガンマ線計測のための集積回路のエレクトロニクスの評価の遅延が挙げられる。今後の研究の推進方策で述べたように、読み出しシステムのコンパクト化が必須となっており、そのために独自に開発した集積回路素子の低温同時焼成セラミックス(LTCC)基板を新たに開発する必要がある。本年度でこのLTCC開発を行う予定としていたものの、この開発は大変高額であり、慎重に進める必要がある。そこで本年度は集積回路の性能評価を入念に実施し、この結果をもって次年度で新たにLTCC基板開発を行い、当該未使用額を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)