2019 Fiscal Year Research-status Report
摩擦/剥離帯電を用いた革新的な環境発電ナノ技術の提案・開発
Project/Area Number |
19K22931
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
陸田 秀実 広島大学, 工学研究科, 准教授 (80273126)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 摩擦発電 / 剥離発電 / 環境発電 / 誘電エラストマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,革新的な環境発電ナノ技術の一つとして,軽量・柔軟,耐久性に優れ,ナノレベルの表面粗度を有する発電体(a Flexible Triboelectric Nano Generator, F-TENG)を開発し,その適用範囲の可能性と拡張性を検証した.特に,適用分野の拡大を念頭に,接触・剥離・圧縮時に作用する摩擦エネルギーを獲得するナノ発電デバイスを提案・開発を目指している.F-TENGは,誘電エラストマーと電極(銅板)から成る薄型積層構造を有しており,下面電極は誘電エラストマーと接着する一方で,上面電極は未接着となっている.また,F-TENGは,縦横50mm程度,厚さ約0.5mm(平均表面粗度が約100~200ナノメートル程度)で製作し,より摩擦帯電を励起する工夫をした.本年度は,次のことを実施した.(1)接触・剥離・圧縮による振動実験を行い,高速度ビデオカメラ,レーザー距離計および検力計を用いて,未だ詳細な解明に至っていない摩擦/剥離帯電によるF-TENGの発電原理を解明した.(2)F-TENGの発電量に及ぼすキーパラメータは,剥離距離,剥離振幅,剥離速度および作用外力に関係していることを明らかにした.(3)誘電エラストマーの誘電率,表面粗度,弾性率等と発電量の関係を定性的に明らかにした.(4)キーパラメータが発電量に及ぼす影響を振動試験により検証した.(5)空気層と誘電エラストマーの2つの媒質から成る平行平板コンデンサと仮定し,接触・剥離帯電に基づく理論計算法を構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績(1)~(5)に示した通り,新型コロナウィルスの影響により,研究計画の50%が実施済である.また,開発課題が出てきたため,その追加実験が必要となった.追加実験については,準備段階であり,今後,早期に実施する必要がある.以上の理由から,やや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
上記追試試験を実施し,主要パラメータを明らかにした後,接触・剥離帯電に基づくF-TENGの理論計算法を構築する予定である.本理論計算モデルを用いて,各種適用分野における発電量とデバイス最適化を行うことにより,実フィールド試験を実施し,その性能を評価する.
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Causes of Carryover |
昨年度末に蔓延した新型コロナウィルスの影響で,2020年2月~3月に実施予定の実験がストップしてしまったため,研究計画に遅れが生じている.2020年6月以降,大学構内への立ち入りが緩和され,実験が可能になると考えられるため,研究計画を少々変更し,研究を急ぎ遂行する予定である.
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