2019 Fiscal Year Research-status Report
環境RNAを用いたモデル生物を対象とした環境毒性への生物応答の解析
Project/Area Number |
19K22934
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
土居 秀幸 兵庫県立大学, シミュレーション学研究科, 准教授 (80608505)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 正樹 富山県立大学, 工学部, 准教授 (20580070)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | 環境DNA / 環境RNA / RNシークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
有害化学物質に対する生物の生態的応答を根本から理解するには、その応答に関連するタンパク質産生に関わる遺伝子の発現を調べるとともに、現行の評価エンドポイント(個体の生死や行動、繁殖)に関わる情報を同時に取得することが重要である。現在では、超並列シークエンサなどの技術の発達で、メッセンジャーRNA(mRNA)を同時並列に解析(RNAseqによるトランスクリプトーム解析)することで、どのような遺伝子が発現しているかを明らかにできるようになってきた。しかし、mRNAの解析では試験個体を分析に供するため、生きたまま連続的に関連遺伝子の発現量を追うことが不可能である。この問題を解決することができれば、現行の生態毒性試験で生物の生死や成長、増殖などの挙動を追うと同時に、関連遺伝子の発現量の変化をとらえることが可能となる。そこで、本研究では、水中において存在している“環境RNA“を用いて、遺伝子発現を解析する革新的手法を開発する。”環境RNAにより生物の遺伝子発現反応を連続測定できる革新的技術”を確立し、毒性への生物応答を継時的に捉えるために応用する。本年度では、標準試験生物であるオオミジンコを用いて、OECDや化審法のテストガイドラインに準拠した試験を富山県立大学において実施した。試験物質は重金属(亜鉛)を用いて物質添加後、サンプルを48時間後に採集し、RNAの抽出と、 RNAseqによるトランスクリプトーム解析を試みた。しかし、RNA抽出により採集できるRNA量が想定よりも非常少なく、RNAシークエンスがうまく行えなかった。その後年度内に抽出方法の検討を行い、今年度のサンプルとともに来年度RNAシークエンスを行える目処が立った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RNA抽出により採集できるRNA量が想定よりも非常少なく、RNAシークエンスがうまく行えなかった。その後年度内に新しい抽出方法の検討を行い、今年度のサンプルとともに来年度まとめてRNAシークエンスを行える目処が立った。
|
Strategy for Future Research Activity |
標準試験生物であり、全ゲノムの記載があるオオミジンコの生態毒性試験において、環境RNAを回収、シークエンス解析する手法を開発する。本研究で開発する環境RNAを用いた解析と、生物から直接取り出したRNAを用いた従来の解析との比較を行い、環境RNA手法による解析を確立する。来年度は、新たに開発した遺伝子の発現を環境RNAから捉えて、毒性試験下において連続的に起こる生物応答に関連する遺伝子の発現を追う。
|
Causes of Carryover |
環境水からのRNA抽出量の問題で、今年度RNAシークエンスが行えなかったため、今年度のサンプルも次年度RNAシークエンスを行うこととしたため。
|