2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a treatment system for mine drainage containing manganese by using constructed wetlands with soil, plants, and microorganisms
Project/Area Number |
19K22935
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
惣田 訓 立命館大学, 理工学部, 教授 (30322176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 直幸 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (20285191)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 人工湿地 / マンガン / 微生物 / 植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
ある鉱山の坑廃水組成を模擬した廃水を作製した.円筒容器にヨシまたはガマを植栽した植栽系に加え,非植栽系を作成した.上部から1Lの模擬廃水を流入させ,設定した滞留時間後に処理水を排出し,再び新たな模擬廃水を流入させる連続回分実験を行った.滞留時間は,第Ⅰ期(7回),第II期(9回),第Ⅲ期(26回)は1週間,第Ⅳ期(8回)は2週間,第V期(29回)は3~4日間とした.模擬廃水のMn濃度は,第Ⅰ期は10 mg/L, 第II期は20 mg/L, 第III~V期は66 mg/Lとした.第III期に非植栽系,ヨシ植栽系とガマ植栽系の人工湿地から,黒色の堆積物を取り出し,硫酸マンガンを含む平板培地で微生物を培養した. 第Ⅰ期と第Ⅱ期は,どの人工湿地でもマンガンを排水基準を満たすまで除去できた.非植栽系は第Ⅳ期,第Ⅴ期も安定してマンガンを除去できたことから, 滞留時間は3~4日あれば十分であるが,2週間とした場合はマンガンが再溶出することが示唆された.植栽系でも滞留時間が3~4日間あればマンガンは十分に除去できた.単離したマンガン酸化菌のうち, 非植栽系から分離した1-b株は,Kineosporia属に属する細菌であった.一方,ヨシ植栽系とガマ植栽系から分離した株は,いずれもAscomycetesであり,ヨシ植栽系から分離した3-1, 3-2株はPleosporales目,ガマ植栽系から分離した5-1株はAcremonium属、5-2, 5-3株がDothideomycetidae亜綱に属するものであった.模擬廃水には有機物が含まれていないため, 植物の根分泌有機物によって, 集積されるマンガン酸化菌の種類が影響されると考えられる.単離したマンガン酸化菌は,8日間で100mg/Lのマンガンの40%以上を除去でき, 特にガマ植栽系から分離した5-1株と5-3株の能力が高いことが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、学内活動に制限があり、マンガン酸化微生物の特徴づけが遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
単離したマンガン酸化菌のうち, 特にガマ植栽系から分離した5-1株と5-3株の能力が高い. この2株を中心に、バッチ試験によって、初期マンガン濃度、pH、炭素源の種類の及ぼす廃水からのマンガン除去への影響を明らかとするとともに、マンガン酸化物を回収し、電子顕微鏡観察によって、その構造と元素組成を明らかとする。 また、抽水植物であるガマは、根圏に微生物を共生させ、マンガン酸化物を蓄積すると考えられるが、根が張っているため、その回収が困難である。そこで、ラボスケールにおいて、前処理としての中和操作の後、沈水植物であるオオカナダモと浮遊植物であるホテイアオイによる廃水からのマンガン除去試験と、さらなるマンガン酸化微生物の分離と特徴付けを試み、マンガン酸化物の回収が容易な処理システムを検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナの感染拡大防止のため、大学内での研究活動に遅れが生じた。マンガン酸化微生物の特徴づけを行うため、培地作成やICP-AES、電子顕微鏡観察による元素分析に関わる化学薬品やガラス器具、プラスチック容器類、ガマ・オオカナダモ・ホテイアオイなどの植物体などの消耗品費を使用する。また、日本水処理生物学会大会など、学会発表の参加費や旅費を使用する。
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