2022 Fiscal Year Research-status Report
大気中のマイクロプラスチックの存在と定量評価に関する研究
Project/Area Number |
19K22937
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
永淵 修 福岡工業大学, 付置研究所, 研究員 (30383483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 暦 福岡工業大学, 付置研究所, 研究員 (10626576) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Keywords | 樹氷、雪 氷河 / 大気 / 肺組織 / ナイルレッド / 蛍光顕微鏡 / 顕微ラマン分光光度計 / BALF溶液 |
Outline of Annual Research Achievements |
大気中マイクロプラスチック(MPs)の分析法を確立した。その手法は次の通りである。大気をアクティブサンプラーでフィルター(47mm径PTFE)上に採取する。採取したフィルターを30%H2O2溶液40mlに浸し、60℃で静置分解する。この溶液をフィルター(47mm径PTFE)を用いて吸引ろ過した後、ポリタングステン酸ナトリウム溶液に浸して無機物を比重分離する。比重分離した溶液を25mm径のフィルター(PTFE)で吸引ろ過する。ナイルレッド(2%メタノール溶液)で染色し、60℃暗所で乾燥させフィルター上の粒子を蛍光顕微鏡で観察する。観察画像からMPsの形状、粒径分布を導くことができる。粒子径は1ミクロンメートルまで定量可能である。同じフィルターをマイクロラマン分光光度計を用いて分析しプラスチックの定量を行う。この手法で5マイクロメートルまでのプラスチック粒子が定量できた。 現在、この手法で大気、雪、氷、樹氷等の実サンプルのデータを収集している。 2022年度は、遠隔地として北極と南極の大気、雪、氷のサンプル及び立山の2m深の積雪を10cmごとのサンプルとして採取し、分析を行っている。南極、北極ともに大気中、雪、氷試料からMPsが検出された。 また、都市部の大気として福岡市と長崎市の大気を採取し分析を行っている。これらの大気中MPsはヒトが呼吸することで体内に沈着することになる。現在、長崎大学病院呼吸器内科と腫瘍外科との共同研究でMPsのヒトの肺への沈着に関しても研究を進めている。 南極の雪・氷中で検出されたMPsおよび、MPsの肺への沈着はJpGU2023で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染症の広がりにより、2年間の延長が可能になった。その間にマイクロプラスチックによるヒト健康リスクの分野に進むことができた。現在、この件について長崎大学呼吸器内科及び呼吸器外科と共同研究を推進している。
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Strategy for Future Research Activity |
遠隔地へのMPsの長距離輸送について日本の山岳、北極をメインフィールドして研究を推進していく予定である。また、大気中MPsとそのヒト健康リスクの観点から、さらに研究を推進していく予定である。MPsは、可塑剤として化学物質を含んでおり、今まで2,3例の可塑剤を検出している。これに関しても大気中MPsとヒト健康リスクの上で重要であるのでこの分析にも力を入れる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の広がりにより、フィールド調査を必要最小限に抑えてきたところである。今年度が最終年度であるのでまずは今までできなかったフィールド調査を主体に少なくともサンプルを取得していくつもりである。その後の分析のための予備の薬品、消耗品をそろえておくつもりである。
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