2019 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of amino acid-capped metal nanoparticle for enhancing anti-protozoan activity
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19K22940
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 健太郎 東北大学, 農学研究科, 教授 (30401178)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | アミノ酸被膜金属ナノ粒子 / 原虫 / 増殖抑制効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
トキソプラズマ原虫は、マラリア原虫等と同じくアピコンプレックス門に属する原虫であり、猫科動物を終宿主とする人獣共通感染症である。ネコの糞便中の虫卵あるいは生肉中の虫体から経口感染し、世界人口の約3割が感染している。妊婦が初めて感染すると、流産や胎児の脳症、痙攣、水頭症、頭蓋内石灰化等を起こす。健康な成人では通常無症状であるが、胎児・幼児、臓器移植やエイズの患者など、免疫抑制状態にある場合には重症化して死に至ることもあり、重篤な日和見感染症である。予防するためのワクチンはない。2012年9月に日本で患者会が設立され、NHKでもその被害が取り上げられた。ユッケやレバ刺しの食用等の近年の食習慣の変化や食材流通のグローバル化による有害な食材の流入に伴い、先天性トキソプラズマ症が拡大し、思春期に症状が出ることもあることから無自覚のものも含めると我が国の新生児において年数百件の被害があると推定されている。 金属ナノ粒子は、一般的な大きさの金属個体(バルク)とは異なる物理的、化学的特性(溶融温度・焼成温度の大幅な低下、蛍光発光、触媒の高効率化・新規反応)を持つ。これらの特性は金属ナノ粒子の比表面積が極めて大きいことに起因する。また、その量子サイズによって特有の物性を示す。さらに、金属ナノ粒子は微生物を殺滅する活性酸素種を産生する能力があり、膜透過性も持つ。 細胞培養、潜伏感染実験、動物感染実験が可能である等の理由から、本研究ではトキソプラズマを寄生虫のモデルとして使用する。本年度は、金属ナノ粒子としては、白金、金、銀の2種の合金に加え、単細胞生物である原虫や宿主細胞への取り込みの容易さを考え、(i)アミノ酸被膜した金属ナノ粒子の原虫増殖阻害効果の解析、(ii)金属ナノ粒子の哺乳類細胞(宿主細胞)への細胞毒性の解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、アミノ酸被膜した金属ナノ粒子の原虫増殖阻害効果の解析、及び金属ナノ粒子の哺乳類細胞(宿主細胞)への細胞毒性の解析を行うことができたことから、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、原虫のシスト(休眠型虫体)に対するナノ粒子の効果の解析、金属ナノ粒子の原虫増殖抑制メカニズムの解析、感染動物実験による原虫(活性型虫体、休眠型虫体)に対するナノ粒子の動態の解析を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
トキソプラズマの潜伏感染誘導系の確立に時間がかかり、今年度予定していた解析が一部進まなかったため、次年度にまとめて執り行う予定である。
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Remarks |
東北大学大学院農学研究科動物環境システム学分野のホームページ
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Research Products
(5 results)