2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K22941
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小玉 哲也 東北大学, 医工学研究科, 教授 (40271986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 匡 千葉大学, フロンティア医工学センター, 教授 (40334172)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 転移 / リンパ節 / センチネルリンパ節 / 遠隔転移 / 血行性 |
Outline of Annual Research Achievements |
リンパ節転移に関する全身転移理論では, 原発巣から離脱した腫瘍細胞は, 新生リンパ管を介して所属リンパ節に転移が発生し, その後, 数珠状に繋がるリンパ節を介して静脈系に浸潤し, 全身転移を来すとされてきた. しかしながら, 申請者代表者らは, リンパ節腫脹マウスを使用し, リンパ節転移初期像を精査し, 腫瘍細胞が輸入リンパ管からリンパ節の辺縁洞に侵入する段階において, 辺縁洞を貫通する静脈に浸潤し, 腫瘍細胞は血行性として遠隔臓器に転移することを見出しており, この転移形態をリンパ節介在血行性転移理論として提唱するに至った. 本研究では, リンパ節介在血行性転移理論の実験的検証を目的とする. 本年度で得られた本成果を以下に示す. (1)臨床的N0リンパ節では, 腫瘍細胞の成長とともにリンパ洞ならびに血管の流れが欠損するperfusion defectが確認された. (2)超音波画像からの音響濃度がコントロールに比して減少することが示され, 音響濃度が臨床的N0の新たな診断指標になり得ることが示唆された. (3)転移性腫瘍をリンパ節内で可視化するために, リンパ節を透明化する手法を樹立した. (4)ヒトの頭頸部がん患者から摘出されたリンパ節の病理解析から被膜を貫通する細静脈が確認された. この知見は, マウスで確認された本理論がヒトの場合に適用されることをものと示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画通りに進行している. また, 新たな知見が得られたので, 計画を一部変更し, 研究内容をさらに進展させる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は, 前年度の成果に基づき, 以下の研究の推進方策を立てる. (1)腫瘍細胞の成長とともにリンパ洞ならびに血管の流れが欠損するperfusion defect形成や音響濃度の減少が確認されたことから, 本年度は, マイクロX線CTを使用して臨床的N0リンパ節の血管構造(血管密度, 血管長, 血管体積)やリンパ節体積を精査する. さらに, 転移性腫瘍をリンパ節内で可視化するために, リンパ節を透明化する手法を樹立したことから, 臨床的N0リンパ節の腫瘍細胞の3次元位置を同定する画像解析手法の開発を目指す. (2)ヒトの臨床的N0リンパ節の病理解析をさらに進める. 解析着目点は, 被膜を貫通する血管像, リンパ節周囲の血管との吻合, リンパ節の血管と被膜を貫通する血管であり, 染色手法としては, HE染色, 抗CD31染色, 抗ポドプラニン染色を実施し精査する. (3)マウスにおけるN0リンパ節の病期を精査するために, 過去に研究代表者の研究で取得している臨床的N0リンパ節の超音波像(Mモード, コントラストモード)を深層学習を用いて解析する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である.令和2年度請求額とあわせ,令和2年度の研究遂行に使用する予定である.
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Research Products
(19 results)