2020 Fiscal Year Annual Research Report
組織幹細胞由来の胚子様構造体から得た各種原基の採取・保存法
Project/Area Number |
19K22946
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
沖 明典 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60334067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 博 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (30089784)
丸島 愛樹 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40722525)
松丸 祐司 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70323300)
豊村 順子 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (80645630)
松村 明 筑波大学, 医学医療系, 客員教授 (90241819)
大山 晃弘 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (90538232)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 歯髄幹細胞 / 胚様体 / 胚子様構造体 / 胚子成長因子 / 器官・臓器の原基 |
Outline of Annual Research Achievements |
各種器官臓器の機能不全を再生医療による移植治療法で治療する方法を開発することを目的に、まず各種の器官・臓器の原基を得るための細胞源として組織幹細胞のうちから万能細胞の存在が示唆される歯髄幹細胞に着目しこれを細胞源として使用した。ヒトの歯髄初代培養細胞から薄撒き法で歯髄幹細胞を得た。この幹細胞から天蓋培養法で胚盤胞に似た胚様体を作製した。この胚様体を我々が開発した胚子成長因子(EmbGF)を添加した培養液で還流培養し、心拍動を認める胚子様構造体の成育に成功した。 心拍動を認めない胚子様構造体の発育は心拍動のあるものに比べ未熟であった。 胚子様構造体内に確認された器官・臓器の原基は、心臓、肝臓、消化管(膵臓を含む)、神経管(脈絡叢を含む)、網膜、腎臓(中腎)、消化管(杯細胞)、呼吸器(線毛上皮と杯細胞)、皮膚(毛根を含む)、骨格筋(一方向に配列する筋芽細胞を含む)、動静脈、骨・軟骨、歯胚等であった。しかし、それら器官・臓器の原基の存在様式は様々であった。神経管を採取し還流培養するとメラニン細胞を含有する中脳が出現した。また消化管原基を培養し、ここから芽出する膵臓より膵島を採取することに成功した。この膵島にはインスリン、グルカゴン、ソマトスタチン産生細胞が確認された。肝臓中には原始血球集団(造血組織)が認められた。各種器官・臓器の原基を分散培養しDMSOフリーのクライオスカーレスを用いて液体窒素中に保存することが可能であった。今後、筑波大学内の細胞バンクに寄託することを検討する。また、本研究から今までに得られたノウハウを用いて、HLAホモドナーの歯髄細胞から胚子様構造体を作製し、他家移植可能な各種器官・臓器の採取を行い、これらを各種の機能不全モデル動物に移植して各種機能の発現・維持を指標に評価する予定である。
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