2020 Fiscal Year Annual Research Report
In vivo oxygen mapping based on lifetime imaging microscopy using phosphorescent molecule
Project/Area Number |
19K22947
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
吉原 利忠 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (10375561)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | りん光 / りん光寿命 / イリジウム錯体 / 酸素 / 細胞 / 組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,(1)生きた小動物組織内の酸素濃度(分圧)分布をイメージングするために,酸素濃度に依存して発光が顕著に変化する‘りん光’を利用した酸素検知試薬(りん光プローブ)を,イリジウム錯体(Ir錯体)を用いて開発すること,(2)開発したIr錯体と共焦点りん光寿命イメージング顕微鏡(PLIM)を用いて,組織内(肝臓,腎臓,腫瘍など)の酸素濃度(分圧)を単一細胞レベルの分解能でリアルタイムイメージングすることである。 令和2年度は,前年度に開発した培養細胞、組織切片、生きた小動物臓器を観察できるりん光寿命イメージング顕微鏡と、赤色りん光イリジウム錯体を用いて、マウス臓器肝臓の酸素分圧の定量的イメージングを実施した。麻酔下にあるマウスの尾静脈より、イリジウム錯体を100~200 nmol投与して30分後に腹部を開腹して、肝臓に分布するイリジウム錯体のりん光寿命を計測した。得られたりん光寿命を酸素分圧に変換するために、肝実質細胞を平面培養し必要なパラメータを取得した。これらを用いて、肝臓の酸素分圧を算出したところ、門脈辺縁領域では約40 mmHg、中心静脈付近では約25 mmHg、それらの中間領域では約32 mmHgであった。これは針電極を用いて得られた値とほぼ一致しており、世界で初めて、光学的手法で肝臓の酸素分圧を定量的にイメージングすることに成功した。また、針電極では、各場所を‘点’でしか計測できないのに対して、本手法では、‘面’で計測できるため一度に多くの空間的情報を取得できる。さらに、同一個体を用いて、同じ場所の酸素分圧を数時間にわかって追跡できるため、個体の代謝過程を、単一細胞レベルで観測することもできる。
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