2020 Fiscal Year Research-status Report
椎間板前駆細胞と力学場から構成される3次元椎間板組織モデルの創出
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19K22954
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三浦 重徳 東京大学, 生産技術研究所, 特任講師 (70511244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宿南 知佐 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (60303905)
森本 雄矢 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (60739233)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 椎間板 / メカニカルストレス / Pax1 / 伸展刺激 / 硬節 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が同定したPax1硬節エンハンサー配列を利用して、GFPを硬節で発現するトランスジェニックマウス系統の樹立を試みたが、本研究の目的に見合うGFP高発現ラインを取得することはできなかった。原因は不明であるが、transgeneが複数コピー入ることで、正常な胚発生に必要な転写因子がtransgeneにトラップされ、マウスが胎生致死となっている可能性が推察された。そこで、マウス組織からGFPによるセルソーティングによって椎間板前駆細胞を採取する当初の計画の代替案として、ヒトiPS細胞を用いたPax1発現硬節細胞の分化誘導系について現在検討を進めている。一方、椎間板細胞の力学刺激応答を解析するために、ラット尾椎より採取した椎間板細胞を用いて実験条件の検討を行った。10cmディッシュの培養から、力学刺激負荷培養デバイス3、4個分の椎間板細胞を採取できることがわかり、Pax1をはじめとする椎間板のマーカー遺伝子を発現していることを確認した。次に、デバイスにおいて椎間板細胞の3次元ゲル内培養を行うため、3種のECMゲル内で培養を行ってマーカー遺伝子の発現を比較し、3次元培養に最適なゲル条件を決定した。また、動作プログラミングが可能なシリンジポンプを新たに購入し、我々が作製したPDMSから成る円形の培養チャンバーとゴム膜からなる力学刺激負荷デバイスに接続することでゴム膜に空気圧を負荷し、チャンバー内の環状ゲル組織を一定時間毎に膨張させることが可能な培養系を構築した。さらに、自作デバイスを用いて力学刺激負荷実験を行うに先立って、2次元伸展培養装置を用いて椎間板細胞を培養し、椎間板細胞で発現する遺伝子の力学刺激応答性に関して予備的な知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
椎間板においてGFPを発現するトランスジェニックマウス系統の取得が困難であることがわかり、当初の計画を変更してヒトiPS細胞を用いた硬節細胞(椎間板前駆細胞)の分化誘導系に取組む必要がでてきた。さらに、新型コロナ感染症拡大に伴う研究活動制限も加わり、研究の停滞、遅延が起こった。そのため、やむをえず研究期間の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
延長した残り1年の研究期間では、ヒトiPS細胞からPax1発現硬節細胞の分化誘導および力学刺激負荷デバイスを用いた3次元伸展培養について取組む。ヒトiPS細胞から椎間板前駆細胞の分化誘導系は最近報告されたばかりであるが、問題なく遂行することができれば、力学刺激負荷デバイスを用いた有用なヒト組織モデルになることが期待され、本研究の目的も達成可能であると思われる。ヒトiPS細胞を用いた実験系が困難な場合は、ラットの初代椎間板細胞を用いて同様の実験を行うことで対処する。
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Causes of Carryover |
予定していたトランスジェニックマウス系統の樹立が困難であることが判明し、それを用いた以降の実験計画を中止した。また、新型コロナ感染症拡大に伴う研究活動制限により研究の停滞が発生したため研究計画を延長することになり、次年度使用額が生じた。繰越金は、延長した研究計画の遂行に用いる。
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Research Products
(2 results)