2022 Fiscal Year Annual Research Report
汗の蒸発潜熱を利用した新規発汗計測原理の創出とウェアラブル化の試み
Project/Area Number |
19K22958
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 志信 金沢大学, フロンティア工学系, 教授 (40242218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野川 雅道 公立小松大学, 保健医療学部, 准教授 (40292445)
内藤 尚 金沢大学, フロンティア工学系, 准教授 (40392203)
鈴木 郁斗 公立小松大学, 保健医療学部, 助教 (10880768)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 発汗計測 / 皮膚温 / 蒸発潜熱 / 赤外センサ / 発汗部位マッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
1.発汗量推定法の再検討:昨年度は蒸発領域皮膚温(To)と蒸発抑制領域皮膚温(Tc)の差:⊿Tの値から発汗量を推定するに当たって体表温度の低下を促す熱流を3つの経路、すなわち(1)組織から皮膚への熱流、(2)皮膚から空気への熱流、(3)皮膚から外界への放射熱と仮定し、⊿Tの値と水の蒸発潜熱から発汗量を推定した。ところが(1)の経路において組織の熱伝導率が発汗量(血流量)に依存する可能性が浮上したため、「熱伝導率」ではなく「熱伝達率」を導入したモデルを新たに構築し発汗量の推定精度を検証した。具体的には、まず最初に熱伝導率の発汗量依存性を検証するため、シリカゲルの重量変化から発汗量を実測し熱伝導率との関係を検討したところ、熱伝導率と発汗量との間に正の相関があることを確認した。そこで体幹から体表への熱流について熱伝達率の概念を導入したところ、機器の校正なしに発汗量を定量的に計測できることが示された。更に改良した理論を用いて温熱性発汗による発汗量を算出したところ、同時計測した市販発汗計との誤差10%程度で発汗量の経時変化を捉えることができた。 2.発汗部位簡易マッピング法による温熱性発汗部位計測実験:前年度原理確認した本法により、運動負荷中の発汗部位が汎用サーモカメラでマッピング可能か以下に示す予備実験により検証した。すなわち健常成人男子を対象とし、エルゴメータ負荷により温熱性発汗を生起させた時の体幹背面の皮膚表面温度を汎用サーモカメラで撮像した。具体的には、最大心拍数の70%に達した時点で撮像を開始し、同一負荷を所定時間(5~10分程度)継続後、エルゴ負荷を停止すると同時に、市販ヒートガンにより約2m後方から温風(温度:約40℃、風速:約1m/s)を体幹背面に負荷した。その結果、4カ所で測定した皮膚表面温度は最大で約2℃低下し、発汗部位を明瞭に識別可能となることを確認した。
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