2019 Fiscal Year Research-status Report
Control of immune response by glycopolymer-antibody conjugate
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19K22971
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三浦 佳子 九州大学, 工学研究院, 教授 (00335069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 健 九州大学, 工学研究院, 准教授 (70335785)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | シグレック / シアリルオリゴ糖 / 糖鎖高分子 / 免疫抑制 / 分子認識 / 多価効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
シアリル酸のクラスターがシグレックに作用して、免疫抑制活性を発現することについて検討した。糖鎖高分子として、Neu5Ac(a2-3)GalとNeu5Ac(a2-6)Galを持つ高分子をそれぞれ、分子の鎖長、糖鎖密度について変化させた糖鎖高分子を合成した。糖鎖高分子は、アクリルアミド型の高分子として、側鎖にアルキンを持つ分子を合成した上で、RAFTリビングラジカル重合によって重合体を形成し、その後、糖鎖についてはアジド糖をクリック反応によって結合させた。糖鎖高分子の最大の重合度は約100とした。免疫抑制活性については、SEAP RAW264.7細胞を用い、細胞にLPSを加えて炎症を起こさせたうえで、SEAP活性を評価した。 糖鎖については、シグレック9の天然リガンドと共通の構造を持つ、Neu5Ac(a2-3)構造を持つ分子が免疫抑制活性があることがわかった。Neu5Ac(a2-3)Galの単体と重合体で比べると、糖鎖の密度が高いほど免疫抑制活性が顕著である傾向にあり、糖鎖密度が70%の重合体が最も優れた免疫抑制活性があった。分子量について、糖鎖密度70%のままで重合度を変化させて調べると、重合度がある程度低い化合物の方がより、強い免疫抑制活性を有していることがわかった。糖鎖クラスターの大きさだけで考えると、重合度が大きい方がよいように予想されたが、高分子の分子の運動性などによって、細胞のシグレックへのアクセスが変化していることが示唆された。 また、抗体のFc領域を活用した抗体の修飾方法について、基礎的な合成の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖鎖高分子による免疫抑制活性を調べて実験系を構築することができた。そのため、化合物を合成することによって、シグレックに関する免疫応答を調べられるようになった。また、抗体に関する検討も基礎的な部分について、検討することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、糖鎖高分子による、シグレックを介した免疫抑制効果について、知見をまとめた上で、学術論文を出版する。 また、このシアリルオリゴ糖鎖高分子による免疫抑制効果について、抗体とのコンジュゲーション、葉酸の付与、疎水性の付与などを通じて、実用レベルまで活性を高めることを検討する。
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