2019 Fiscal Year Research-status Report
先天的な遺伝子多型の改善を可能とする安全で簡便な移植療法の開発
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19K22974
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
小島 伸彦 横浜市立大学, 理学部, 准教授 (90342956)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 赤血球 / 赤芽球 / ALDH2 / レンチウイルス / 強制発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、先天的な遺伝子多型を、輸血による赤血球の移植によって治療するという、ユニークなコンセプトの治療法を提案・検証することを目的とする。具体的には肝臓の代謝機能を付与した赤血球を、血液中に移植して、肝臓機能を回復・亢進させるシステムの可能性を検討する。従来の遺伝子治療よりも安全で簡便に移植が行えるため、これまで治療の対象にならなかった「体質」の改善にも活用でき、クオリティ・オブ・ライフを飛躍的に高める可能性を秘めた取り組みである。 研究開発は以下の7つのステップからなる。 (1) マウス赤血球前駆細胞株(MEDEP-BRC5)にレンチウイルスでALDH2とGFPを導入する。(2) FACSにより遺伝子導入効率を評価する。(3) 遺伝子導入効率が極端に低い場合はセルソーターを用いて赤血球前駆細胞株を濃縮する。(4) 赤血球前駆細胞株および成熟した赤血球について、ALDH2とGFPのmRNA量、タンパク質量を定量し、タンパク質の発現が維持されることを確認する。(5) ウイルスの消失を確認し、分化・脱核した成熟赤血球を10E6個程度、マウスに移植する。(6) 定期的に採血して、GFP陽性細胞のポピュレーションを追跡する。(7) マウスにアルコールを負荷した際の血中アルデヒド濃度の推移を計測する。 初年度は(1)~(4)に取り組む計画であった。レンチウイルスの作製は計画通りに実行できたが、赤芽球細胞株の分化効率が低く、条件を検討中である。予備的なアプローチとして、マウスの赤血球を低張液で処理することで穴を開け、再度高張液で穴を閉じるという方法で、別の細胞に強制発現させた酵素を封入することも試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
赤芽球を赤血球へと分化させる効率が予想よりも低いことが判明したため。その他は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
赤芽球への遺伝子導入、あるいは赤血球の低張液・高張液処理によって、酵素を発現・封入した赤血球を作製する。その後は計画通り、酵素活性、移植効率、動物の体内での維持効率や活性の確認を行っていく。
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Causes of Carryover |
赤血球の分化効率が低く、研究の進捗が多少遅れているため。代替アプローチにも取り組み始めたため、次年度は遅れを取り戻して研究開発を行うことができる。
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Research Products
(1 results)