2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of all-in-one nanomedicine for sonoimmunotherapy
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19K22977
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
原田 敦史 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50302774)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 超音波免疫療法 / 酸化チタンナノ粒子 / 免疫原生細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、TiO2ナノ粒子への超音波照射による活性酸素種(ROS)生成による細胞死誘導機構評価を通して免疫系の活性化の可能性について検討した。 TiO2ナノ粒子と3-ホスホノプロピオン酸または、o-ホスホリルエタノールアミンの脱水縮合により2種類の表面改質TiO2ナノ粒子(TiO2-COOH, TiO2-NH2)を得た。得られたTiO2ナノ粒子について、熱重量(TG)測定を行い、表面改質剤の修飾量を決定し、ゼータ電位のpH依存性から表層官能基の異なるTiO2ナノ粒子の合成を確認した。次に、表面改質TiO2ナノ粒子に超音波を照射し、ROS検出プローブであるHydroxyphenyl fluoresceinを用いてROS生成能が維持されていることを確認した。また、蛍光色素と消光剤を内封したリポソームあるいはHeLa細胞に対して表面改質TiO2ナノ粒子を接触させた後、超音波照射を行い、蛍光色素のリリース挙動測定、または、ATP assay及びCRT提示の確認により、生体膜不安定化能を評価した。リポソームを用いた蛍光色素リリース実験とHeLa細胞を用いた実験により、TiO2-COOHとTiO2-NH2の間で異なる挙動が観察され、いずれも、リポソーム膜と細胞膜に特異的に相互作用し、膜不安定化を通して、細胞死を誘導することが確認された。TiO2-COOHでは、アポトーシスよりネクローシスを誘導しやすい傾向が認められ、ATPリリース、CRT提示が確認されたことから、免疫原性細胞死誘導が可能であることが示唆された。 さらに、TiO2ナノ粒子の脂質二分子膜による被覆が可能であることも確認され、超音波免疫治療のためのオールインワンナノメディシンとしての展開が可能であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超音波免疫治療のためのオールインワンナノメディシン構築において問題となると想定されていた2つの項目(TiO2ナノ粒子への超音波照射による免疫原性細胞死の誘導及びTiO2ナノ粒子のリポソーム封入)について初年度で問題点がクリアされ、超音波免疫治療の概念構築が可能であることが確認された。リポソームの表面へ機能性高分子修飾によるドラッグデリバリーシステムとしての機能付与に関しては、これまでに十分な情報蓄積があることから、二年度目には樹状細胞からサイトカイン産生等の免疫アジュバント機能評価を行うことにより目的を達成できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画がおおむね順調に進行していることから、当初の計画通り、TiO2ナノ粒子封入リポソームの表面へ機能性高分子修飾により超音波免疫治療に必要と考えられる機能を付与することによりオールインワンナノメディシンを調製する。その機能をin vitro培養細胞実験、in vivo動物実験を通して明らかとすることにより研究目的を達成を目指す。 in vitro免疫機能評価に必要な培養細胞系は既に準備できており、動物実験実施のための所属機関への申請準備も整っている。
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Causes of Carryover |
これまでに経験がなかった免疫原性細胞死機構の評価系の構築で当初予定より順調に進んだため次年度使用額が生じた。次年度は培養細胞系実験及び動物実験を中心に研究を進める計画であり、これらの実験系では比較的高額な試薬類が必要となるため、その目的のために有効に利用したと考えている。
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Research Products
(6 results)