2021 Fiscal Year Annual Research Report
分子種識別トモグラフィを実現する非弾性散乱光干渉断層画像計の開発
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19K22979
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
由井 宏治 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 教授 (20313017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦島 周平 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 助教 (30733224)
森作 俊紀 東京理科大学, 研究推進機構総合研究院, 助教 (00468521) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 局所粘弾性 / 光散乱 / 光音響 / パワースペクトル / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題前半では、任意の試料内部に埋もれた構造体を高空間分解能で分子識別可能な新しい手法として、誘導ラマン散乱光干渉計を開発した。この手法を、一例として深さ数百nmオーダーの凹凸を持つシリコン基板と水との界面に適用したところ、水が凹凸の内部にまで入り込んでいる(Wenzel濡れ)ことを実証できた。 さらに研究後半では、基板上に滴下された後、乾燥しながら濡れ広がる濃厚コロイド分散系における、時々刻々と空間変化する局所粘弾性の計測や、生体組織など光散乱性の強い試料に対しても1 mmを超える深部における局所粘弾性のイメージングを目指し、装置開発を進めた。前者に対しては、動的光散乱イメージングと自己相関解析を組み合わせることで、凹凸のある表面で乾燥・流動するスラリーの粘弾性を時空間的に追跡することに成功した。後者に対しては、光散乱体の深部から出力される信号を効率的に取得するため、光を用いることで空間選択的・局所的(~μm)に熱膨張(入力)を与えたうえで、出力は光音響信号(超音波)の波形を直接捉えることで粘弾性情報を抽出する方法を試みた。この手法は、ゴムのような比較的硬い(ヤング率~MPa)試料から生体組織と同程度の硬さ(ヤング率 数十~数百kPa)の試料まで広く適用可能であることを実証した。また、光吸収体そのものの粘弾性だけでなく、光吸収体に接した物体の粘弾性も同じ手法で解析できることを示した。この結果は、血液を光吸収体として、毛細血管の粘弾性を非破壊・非接触に計測できる可能性を示唆している。 これらの研究は多くの注目を集め、生きたままの動物の内部組織における局所粘弾性を直接計測・イメージングする発展的研究として、AMED-CRESTの研究課題(加齢性難聴の克服に資する次世代型医療の基盤技術の創出、研究代表者:日比野浩(大阪大学)、分担研究)へと昇華した。
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