2019 Fiscal Year Research-status Report
嚥下バイオメカニクスに基づく機能電気刺激による嚥下機能支援システム
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19K22980
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
橋本 卓弥 東京理科大学, 工学部機械工学科, 講師 (60548163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道脇 幸博 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (40157540)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 嚥下 / 電気刺激 / 筋骨格モデル / マルチモーダル計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度では,まず,圧電素子の一種であるPVDFフィルムを用いて喉頭挙上の動きが計測できるかどうかについて実験を行った.なお,実験では,PVDFフィルムによる計測信号と喉頭挙上運動との関係性を調べるために,カメラで頸部を側方から撮影し,画像解析により喉頭挙上運動の解析も行った.また,当初は,我々が独自に開発している嚥下筋骨格モデルを用いた嚥下FES(機能的電気刺激)シミュレータの開発を行う予定であったが,方針を変え,まずは,定電流型の機能的電気刺激装置を開発し,電気刺激により実際に喉頭挙上を惹起できるかどうかについて検討を行った.そして,刺激信号のパラメータや電極の貼付位置などを変化させ,喉頭が最も高く挙上するときの条件について検討を行った.その結果,以下の3点を明らかにした. ①PVDFフィルムによる計測信号のうち,低周波成分の信号と喉頭挙上運動との相関が高く,計測信号から喉頭挙上運動のキーフレームを検出できることが分かった. ②機能的電気刺激(FES)で舌骨上筋群を刺激することにより,喉頭挙上の運動を惹起できることを確認した.この際,筋の発揮力は電圧の大きさに比例するが,その発揮力には限界があり,被験者ごとに異なることが分かった.また,舌骨上筋群の左右の筋を個別に刺激した方が大きな挙上量が得られることが分かった.さらに,刺激時間について検討したところ,20 Hzの刺激周波数において1.4 ms程度の刺激時間が適切であることが分かった. ③舌骨上筋群を刺激すると下顎が下降し,喉頭挙上の運動を妨げてしまうことがある.そこで,下顎を意図的に固定するようにしたところ,固定しない場合よりも大きな喉頭挙上量が得られ,下顎を固定することの重要性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では,まず,嚥下筋骨格モデルを用いた嚥下FESシミュレータに取り組む予定であったが,方針を変更し,機能的電気刺激により喉頭挙上運動を惹起できるかどうかについて検討することとした.方針転換後の進度は予定通りであり,定電流型の機能的電気刺激(FES)装置を製作し,実験により喉頭挙上運動を惹起できることを確かめることができた.また,PVDFフィルムを用いた喉頭挙上計測については当初の予定通りで,PVDFフィルムを頸部に貼付することにより,喉頭挙上運動のキーフレームを検出できることが確認できた.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の実施状況を鑑み,2020年度では以下の3点について重点的に研究を進める. ①PVDFフィルムによるマルチモーダル嚥下運動計測(嚥下音,筋音,喉頭挙上の同時計測)技術を応用し,嚥下意図を検出できるようにする. ②①で検出した嚥下意図に基づいてFESによる刺激タイミングを調整できるようにする. ③嚥下筋骨格モデルによる解析結果を基にして効果的な刺激位置や刺激パターンについて検討を行う.
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Causes of Carryover |
英語論文の英文校正費および投稿料を支出する予定でいたが,年度末までに投稿準備が完了しなかったため,計上しなかった.また,予定していた学会への参加も見送ったため,その分の旅費や参加費も計上しなかった. 現在準備中の英語論文の英文校正費および投稿料に支出予定である.また,国内外の学会参加費も支出予定である.その他,実験協力者への謝金としても支出予定である.
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