2020 Fiscal Year Research-status Report
アミノ酸クラスターに基づく腎標的化ハイブリッドDDSによる腎癌診断・治療法の開発
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19K22982
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
勝見 英正 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (30434666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 昌 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (00166779)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 薬学 / ドラッグデリバリーシステム / ターゲティング / 腎臓 / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は独自の腎臓標的化分子 (アミノ酸クラスター) に基づき新しい腎臓標的化ドラッグデリバリーシステム (DDS) を開発するとともに、治療が困難とされる腎細胞癌の新規診断・治療法を構築することを目的とする。 2020年度では、初年度で腎臓標的化分子として合成したアミノ酸クラスター(セリンをクラスター状に修飾した高分子ポリマー) のアミノ酸クラスターの末端基の一部に二官能性リンカーを介して治療用放射性核種をアミノ酸クラスターに担持し、腎臓ターゲティング能と腎細胞癌治療効果の連関を明らかにした。すなわち、癌細胞をマウスの腎臓皮質に接種することで腎細胞癌モデルを作製し、治療用放射性核種を担持したアミノ酸クラスターを静脈内投与したところ、腎臓における癌増殖が顕著に抑制された。また、その癌増殖抑制効果は、治療用放射性核種単独投与と比較して顕著であった。さらに、治療用放射性核種の副作用として骨髄抑制が懸念されることから、血中の白血球数について評価したところ、治療用放射性核種を担持したアミノ酸クラスターは血中白血球数にほとんど影響しないことが示された。以上のことから、治療用放射性核種を担持したアミノ酸クラスターは、治療用放射性核種による骨髄抑制を回避しつつ腎臓における癌増殖を効率良く抑制することが示された。 本研究成果をさらに発展させることにより、治療が困難とされる腎細胞癌の新規診断・治療法を構築が可能になるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、腎標的化分子であるアミノ酸クラスター(セリンをクラスター状に修飾した高分子ポリマー)を利用した治療用放射性核種の腎臓標的化とそれを利用した腎細胞癌治療の可能性を示すことが目標であった。腎細胞癌モデルマウスを用いた評価において、治療用放射性核種を担持したアミノ酸クラスターの静脈内投与により、腎臓における癌増殖が顕著に抑制されることを明らかにしており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したアミノ酸クラスターの末端基の一部に二官能性リンカーを介して抗癌剤をアミノ酸クラスターに担持し、腎臓ターゲティング能と腎細胞癌治療効果の連関を明らかにする。すなわち、癌細胞をマウスの腎臓皮質に投与することで腎細胞癌モデルを作製し、抗癌剤の腎臓標的化による治療効果を評価するとともに、体内動態解析結果との連関を明らかにする。体内動態及び治療効果の結果に応じて、物性、担持方法を最適化し、体内動態と治療効果に優れる腎臓標的化高分子キャリアを創製する。
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Causes of Carryover |
当該年度の研究に係る支出の残金として次年度使用額が生じた。 次年度の研究助成金と合わせて、次年度に計画している研究の物品費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)