2019 Fiscal Year Research-status Report
アミロイドベータのリンパ系クリアランス促進による認知症治療の萌芽的研究
Project/Area Number |
19K22984
|
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
水野 理介 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (30273080)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向田 昌司 岡山理科大学, 獣医学部, 助教 (80824797)
小野 伸幸 長野工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (60214186)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | リンパ管 / 平滑筋 / アミロイド ベータ / Rho kinase / 食塩 |
Outline of Annual Research Achievements |
先進国超高齢社会のトップランナーである本邦において、「健康寿命の延伸」を妨げる加齢神経変性疾患認知症の有病者人口は右肩上がりであり、当該疾患は医学的のみならず社会的にも解決しなければならない喫緊の課題である。近年、その原因物質であるアミロイドベータやタウタンパク質の脳脊髄液を介する自浄・除去作用(クリアランス)の減弱がアルツハイマー型認知症の病態に関与することが示唆されている。本研究では、集合リンパ管の収縮制御機構 [内皮細胞由来一酸化窒素・プロスタノイドに対するアミロイドベータの作用について、ex vivo実験(急性実験と器官培養実験)を実施し、アミロイドベータによる集合リンパ管収縮阻害効果をレスキューする手法を探索する。ラット・マウス頸部における深部リンパ節ならびに表在リンパ節のリンパ循環路を明らかにすることができた。正常食塩負荷(NSD)ラット深部リンパ節輸出リンパ管を摘出し、還流標本を作製し内圧誘発性に自発性収縮の存在することを確認できた。アミロイドベータ1-42を標本外腔側から投与し、NSDラットリンパ収縮に対する直接急性効果を検討した。その結果、アミロイドベータ1-42は、NSDラットリンパ収縮に影響を与えないことが明らかとなった。すでにリンパ管の筋原生収縮に内因性収縮性プロスタノイドやRho kinaseが強く関与していることが知られている。Rho kinase依存性内圧誘発性リンパ管自発性収縮に対する高食塩負荷(HSD)の検討を行った。その結果、Rho kinase阻害薬であるファスジルは、HSDによるリンパ管収縮増強を抑制することが判明した。また、HSDは内因性プロスタノイドによるリンパ管収縮を増強した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アミロイドベータ1-42の標本外腔側から投与がNSDリンパ管収縮に影響を与えなかっため、投与方法・濃度・暴露時間などを検討する必要性が生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
アミロイドベータ1-42の投与方法において、選択的内腔投与方法を新たに導入する。また、リンパ管器官培養ならびに培養リンパ管内皮細胞を用いることによって、アミロイドベータ1-42の組織・細胞に与える影響を検討する。リンパ管における一酸化窒素合成酵素の発現および産生機能に対するアミロイドベータ1-42の影響を検討する。
|
Causes of Carryover |
新たに内腔灌流装置の作製が必要となったため、分担者を1名追加しその費用のため翌年度分として請求した。
|
Research Products
(7 results)