2021 Fiscal Year Annual Research Report
Application of hyperactive antifreeze from a cold-tolerant insect
Project/Area Number |
19K22989
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
津田 栄 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (70211381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 恭史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (80356675)
近藤 英昌 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (80357045)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 不凍タンパク質 / 凍結耐性 / 過冷却 / ナノ氷結晶 / 構造 / 遺伝子組換え |
Outline of Annual Research Achievements |
地球上には凍結環境を生き抜く能力をもつ生物が存在する。昆虫はその代表例であり、体液成分の一つとして不凍タンパク質(AFP)をもつチャイロコメノゴミムシダマシ(T. molitor)はそうした耐凍性をもつことが知られていた。しかし、他にどのような昆虫がAFPをもつのかやAFPがもたらす耐凍メカニズム等は不明であった。本研究ではオオクワガタ(Dorcus hopei binodulosus)がもつ不凍物質の構造と機能を解析し、同物質を用いて微細氷結晶(ナノ氷結晶)を作成することを目的とした。実験の結果、Dhbの不凍物質はAFPであることが判明した。そこでDhbAFPの遺伝子配列を解析し、チャイロコメノゴミムシダマシ由来のAFP(TmAFP)との関係を調べた。DhbAFPを氷晶プローブで回収するワン・ステップ精製技術も開発した。オオクワガタ雌雄ペアから取得した卵を孵化させ3齢幼虫になるまで飼育後に、異なる温度に順化させたところ、10℃に順化させた幼虫が最も多く不凍物質を発現することが判明した。10℃飼育後のDhbのmRNAライブラリーを作成しDNAを探索した結果、TmAFPと相同性の高いDNAが合計6種類見出された。このうちの1つの遺伝子組換え体を作製したところ、オオクワガタ体液に観察されたものと同じ約4℃の不凍活性をもつことが示された。これにより、オオクワガタがTmAFPと相同性の高い6種類のAFPアイソフォームを発現していることが世界で初めて明らかになった。DhbAFPは凍結の瞬間に過冷却水中に発生する単結晶氷に結合し成長を止めることで、それらをナノ氷結晶に留め、過冷却状態を安定化する役目を果たすと推察された。即ち、ナノ氷結晶は過冷却状態のオオクワガタAFPの水溶液の中に生成していると結論付けられた。研究代表者はこれらの成果をオープンアクセス誌や学会などで発表した。
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Research Products
(17 results)