2020 Fiscal Year Research-status Report
古代中国兵学思想史における天文占の理論構造について―新出土文献を活用して
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19K23004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
椛島 雅弘 大阪大学, 文学研究科, 招へい研究員 (90823807)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 中国兵学思想史 / 術数 / 馬王堆漢墓帛書 / 天文占 / 敦煌文献 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、五星占の基礎的検討を行った。具体的には、馬王堆漢墓帛書『五星占』と他文献(古代文献の『史記』天官、『淮南子』天文訓や古代以降の占書・兵書)に見える五星占の関連記述について収集・整理し、基礎的な検討を加えた。特に『五星占』は、近年新たな図版が公開され、再解釈が必要となった部分が多いため、厳密に行った。 次に、中国における天文占との関わりのある孤虚占を取り上げ、その理論と変遷を明らかにした。孤虚占とは、中国で古くから存在する占術であり、択日占と方位占の要素を持つ。近年、大量に発見されている『日書』には孤虚占が確認できる。また、馬王堆漢墓帛書『陰陽五行』収録の堪輿占や、『刑徳』に見える刑徳占など、孤虚占に類似する占術も発見され、研究が進められている。報告者は、敦煌文献に見える孤虚占を中心として取り上げ、特に占法の変遷に注目して明らかにした。具体的には、三種の式占(六壬占・遁甲占・太乙占)との関わりや、目録学的観点から明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響で、中国・湖南省博物館への学術調査が行えなかったものの、それ以外の計画は概ね順調に進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、五星占の基礎的検討を踏まえ、その理論構造について明らかにしたい。また、古代から後世にかけて、変化しているのかどうか、変化しているのならどのように変化しているのか明らかにする。そして、学会や研究雑誌にて発表する。 また、もし可能であれば、五星以外の星占(北斗星・彗星・二十八宿など)についても視野を広げ、兵学的視点から検討を加える予定である。
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Causes of Carryover |
主にコロナの影響で学術調査を断念したため、研究期間の延長を申請した。予算は主に、資料収集のための旅費(東京3日間×2回 静嘉堂文庫・国立国会図書館)として使用する予定である。
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