2022 Fiscal Year Research-status Report
The relationship between Mark Rothko's composition and Minimal Art
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19K23011
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
芦田 彩葵 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (10844996)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 抽象表現主義 / マーク・ロスコ / バーネット・ニューマン / ロバート・マザウェル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、抽象表現主義の画家マーク・ロスコの構図とスケールに着目し、ロスコ作品の独自性について検証した上で、ミニマル・アートとの受容関係を考察するものである。 今年度は、1961年にニューヨーク近代美術館(MOMA)で開催されたロスコ展での展示プランを検証した。本展は、ポスト抽象表現主義の若手作家たちに、とりわけ、その展示方法において影響を与えたが、MOMAのアーカイブに保管されているロスコ自身が主体的に関わった展示プランや図面等について調査し、ロスコが作品のスケールや世界観を伝えるために、どのような展示を行っていたのかを考察した。さらにグッゲンハイム美術館アーカイブに保管されている、1963年のグッゲンハイム美術館でのハーバード壁画の展示風景写真等から、ロスコの展示手法について検証を行った。 また、ロスコ様式形成期にロスコと親交が深く、ミニマル・アートをはじめポスト抽象表現主義の作家たちに影響を与えたバーネット・ニューマンとロスコの往復書簡やニューマンによる草稿類について、ニューマン財団でアーカイヴ調査を実施した。それらをもとに、抽象表現主義の動向やロスコの独自性、またニューマンが抽象表現主義の歴史化や後続世代をどのように捉えていたのか考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度は新型コロナウイルスによる制限が徐々に緩和し、ようやく調査先である米国への渡航が可能となったが、ニューヨーク近代美術館アーカイヴ等の調査予定機関へ問い合わせたところ、コロナ禍による閉鎖期間中の延期分で予約が既にほぼ埋まっている状況であり、研究者の訪問可能時期に調査訪問できないことが多く、また訪問可能であった場合も予約可能日時が限られており、時間的に十分な調査が行えなかった。そのためオンラインで入手可能な資料を中心に研究課題について検証し、比較的予約が取りやすかったニューマン財団などに調査先を変更するなどして可能な限り研究を遂行できるように取り組んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで訪問できなかった美術館やアーカイヴなどを中心に今後は米国での調査を積極的に行い、作品および文献調査を行う。また本研究課題のエフォート数値を上げることによって、当該年度に予定していた調査研究の遅れを取り戻し、本研究を完了できるように取り組みたい。
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Causes of Carryover |
当該年度に予定していた調査等を新型コロナウイルスの影響により延期したため、次年度使用額が発生している。
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