2023 Fiscal Year Annual Research Report
The relationship between Mark Rothko's composition and Minimal Art
Project/Area Number |
19K23011
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
芦田 彩葵 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (10844996)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | アメリカ美術 / 抽象表現主義 / マーク・ロスコ / アドルフ・ゴットリーブ / ミニマル・アート / アグネス・マーティン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、抽象表現主義の画家マーク・ロスコの構図とスケールに着目し、ロスコ作品の独自性について検証した上で、ミニマル・アートとの受容関係を考察するものである。 本年度は、海外での資料調査を中心に行った。 多くのロスコ作品を所蔵することに加え、ロスコの遺稿を整理、編集出版したロスコの子息であるクリストファー・ロスコ氏のニューヨークの自宅を訪問し、作品の説明を受けながら実見調査を行う貴重な機会を得た。ワシントンのアメリカ美術文書館では、ロスコ、およびアグネス・マーティン、ドナルド・ジャッドらのロスコについての言及に関する資料収集を行った。また抽象表現主義形成期においてロスコと共に多くの声明を発信してきたアドルフ・ゴットリーブについて、画家の作品やアーカイヴ資料を保管するニューヨークのアドルフ&エスター・ゴットリーブ財団において調査を行った。 パリのルイ・ヴィトン財団美術館で開催された出品点数115点という史上最大規模のロスコ展に赴き、作品の実見調査を行った。これまで主要なロスコ展において展示されてこなかった未見の作品も多く、またロスコ様式への移行期であるマルチフォーム時代の作品も多数出品されていたことから、ロスコ様式の形成にいたる変遷について、カンヴァス側面の着色や画面の色層の塗り重ねなど細部に至るまで考察を重ねた。ワシントンのナショナル・ギャラリーでは、紙作品のカタログ・レゾネのベータ版データ公開に伴い、ロスコの紙作品93点を集めた個展が開催されたため、現地での作品調査を行った。ロスコ最晩年のカンヴァス作品は黒を基調としたモノクロームが占めたが、紙作品においては並行して明るい色彩を用いた作品も制作しており、それらをまとめて実見する機会を得た。またロスコ作品専任学芸員のグリーンハルグ・アダム氏と面談し、ロスコ晩年の作品群について情報を頂くことができた。
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