2020 Fiscal Year Research-status Report
人と超音波診断装置の「合成志向性」生成過程を、NTの事例において明らかにする研究
Project/Area Number |
19K23016
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
渡部 麻衣子 自治医科大学, 医学部, 講師 (60736908)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 合成志向性 / 超音波検査 / 胎児視覚化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目にあたる今年度は、初年度に倫理審査を受理された、自治医科大学附属病院にて、高橋宏典教授の協力を得て、産婦人科での妊婦を対象とした調査研究を主に実施する計画としていた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、ハイリスクの妊婦を多く受け入れている地域の中核病院で、大学に勤務しているとはいえ、院外の調査者が調査をすることの妥当性が十分ではないと判断し、約2ヶ月間でデータを8件取得したところで、調査研究は一時中断することとした。 また予定していたイギリスでのインタビュー調査も断念した。代わりに、昨年度から続けてきた志向性勉強会を続け、フェルベークの『技術の道徳化』に加え、今年度は、サールの『社会的世界の構成』の輪読を続けた。ここでの議論を通じて、フェルベークの「合成志向性」、サールの「集合的志向性」概念は、志向性を技術も含むアクターのネットワークとして位置づける一方で、人の権利や責任といった人間中心主義的な倫理学の課題を棄却するわけではないことを理解するに至った。 研究成果としては、合成志向性概念を用いて事象を考察した研究の成果報告が、2020年度応用哲学会で口頭発表にて受理された。また、本研究の途中経過の発表が、Society for Social Studies of Scienceで口頭発表にて受理された。また、本研究によって得た人的ネットワーク形成を通じて発展したプロジェクト、「人間-技術構成主義」に立つ「生と死」をめぐる倫理の分析と社会的議論の啓発に向けた企画調査」がJSTの戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)の中の科学技術の倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)への包括的実践研究開発プログラムに採択された。(21年3月終了)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
先述の通り、2年目にあたる今年度は、初年度に倫理審査を受理された、自治医科大学附属病院にて、高橋宏典教授の協力を得て、産婦人科での妊婦を対象とした調査研究を主に実施する計画としていた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、ハイリスクの妊婦を多く受け入れている地域の中核病院で、大学に勤務しているとはいえ、院外の調査者が調査をすることの妥当性が十分ではないと判断し、約2ヶ月間でデータを8件取得したところで、調査研究は一時中断することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染拡大が収束する目処が立たないため、上半期は病院での妊婦を対象とした調査研究は実施を見送る計画を立てている。 イギリスでの調査研究はオンラインでのインタビュー調査に切り替える。 現在、調査研究の結果を含まない形での成果報告を「Construction of Optical Media to See "Nuchal Translucency」という題名で論文にまとめている。これを今年度上半期までに書き上げることを目標としている。 下半期は、オンラインでのインタビュー調査の結果を加えて、調査報告を書き上げ、全体の成果としたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、海外での調査研究および発表を断念した。今年度も海外渡航は難しいと思われるため、不足分を資料で補う。 物品費(超音波画像検査の歴史等に関わる文献費):700,000円 報告書作成等にかかる費用:500,000円 学会参加費(日本科学技術社会論学会、日本生命倫理学会、Society for Social Studies of Science):150,000円
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